会社設立後に必ず行うべき手続き一覧|法人設立後の初期対応まとめ

会社を設立した後は、さまざまな役所や関係機関への届出が必要です。これらの手続きを適切に行わないと、後の経営や税務に大きな支障が出る可能性もあります。ここでは、会社設立後に必ず行うべき主な手続きを分かりやすく解説します。

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税務署への届出|法人設立届や青色申告の申請など

会社設立後には、税務署への「法人設立届出書」を提出します。これは、会社が設立されたことを税務署に届け出るために必要な手続きとなります。会社設立後、設立の日(設立登記の日)以後2か月以内に提出する必要があるため、期限を守って提出しましょう。提出には、定款を添付しなければなりません。

青色申告を希望する場合は、「青色申告の承認申請書」も併せて提出しましょう。
青色申告は、白色申告に比べて税金の控除額が大きくなるため、多くの会社が選択しています。
ただし、青色申告を選択するには、帳簿の記帳義務などの要件がありますので、青色申告を選択する際は、事前にこれらの要件を満たせるかどうかを確認しておきましょう。

さらに、会社は役員に報酬を支払うため、「給与支払事務所等の開設届出書」の提出も必要です。役員1人だけでも該当します。
給与の支給人数が常時10人未満であれば、源泉所得税を半年にまとめて納付することができます(納期特例といいます)。
納期特例を受ける場合は、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」の提出もしましょう。

社会保険の加入手続き|法人は原則として加入が義務

法人を設立した場合、社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入が原則義務となります。
個人事業主の場合は、常時5人以上の従業員を雇用している事業所以外の個人事業者は社会保険加入の必要はありませんが、法人の場合は、従業員が一人でもいるときは社会保険に加入しなければなりません。
従業員には取締役や監査役を含みます。ですので、取締役や監査役などの役員が社会保険の加入要件に該当する場合は、必ず手続きが必要になります。

健康保険と厚生年金保険の加入手続きは、年金事務所で行います。会社が健康保険・厚生年金保険の新規適用を受ける「新規適用届」と、社会保険の加入対象となる被保険者の手続きである「被保険者資格取得届」(従業員・役員の情報)を年金事務所へ提出します。
事前に社会保険の加入手続きについてよく調べておきましょう。

労働保険の加入手続き|労災・雇用保険

ここでいう労働保険とは、労災保険と雇用保険のことをいいます。

労働保険の場合は、一部の業種を除き従業員を1人でも雇った時点で加入義務が生じます(個人事業主・法人共通)。ただし、役員は労働者に該当しないため、対象外となります。

労働保険の手続きは労働基準監督署や公共職業安定所(ハローワーク)で手続きを行います。雇用予定がある場合は、速やかに対応できる準備をしておきましょう。

都道府県税事務所・市区町村への届出

会社設立後には、県税事務所と市役所へ法人設立届を提出する必要があります。こちらも提出期限がありますので、忘れずに行いましょう。

  • 都道府県・・・法人県民税・法人事業税の関係
  • 市区町村・・・法人市民税の関係

書式や提出方法は地域によって異なる場合がありますので、事前に確認が必要です。

法人口座の開設|事業運営の基盤となる銀行口座

会社設立後、金融機関の法人口座を開設しましょう。法人口座とは、会社の売上や経費、給与の振込など、事業に関するお金の流れを管理するための専用口座です。

ただし、金融機関によって提出書類や審査基準が異なります。口座を開設したい銀行には、会社設立の検討段階から確認しておくのがおすすめです。

最近はマネーロンダリング対策などにより、法人口座の開設審査が厳しくなっている傾向もあります。設立後すぐに取引や支払いが必要な場合は、早めに準備を進めましょう

許認可の申請|業種によっては必要不可欠

会社設立後、事業の内容によっては「許認可」や「免許」が必要となる場合があります。これらを取得せずに営業を始めてしまうと、違法営業となることがあるため、事前にしっかりと確認することが重要です。
例えば、飲食店を経営する場合は、食品衛生法に基づく許可が必要になります。

認可や免許を取得するには、関連する役所に申請する必要があります。申請に必要な書類や手続きは、各役所によって異なりますので、事前に確認しておきましょう。許認可や免許を取得するまでに、一定の期間を要する場合があります。

また、許認可の種類によっては、会社の定款にその事業目的を明記していないと、許可申請ができないものもあります。そのため、会社設立の段階から、近い将来的に必要となる許認可について調査・準備しておくことが欠かせません。

まとめ|会社設立後の各種手続きをスムーズに行うために

会社を設立した後には、以下のように多岐にわたる手続きが待っています:

  • 税務署への法人設立届出、青色申告の申請
  • 社会保険加入手続き
  • 労働保険の加入(労災・雇用保険)
  • 都道府県税・市町村税への届出
  • 法人口座の開設
  • 業種に応じた許認可の取得

これらの手続きは、経理・労務・法務の知識が必要で、抜けや遅れがあると事業停止のリスクにもつながります。

また、会社設立直後は、営業活動や資金調達、採用活動など、経営者として決断すべきことが山積みです。専門家のサポートを活用し、確実かつ効率的に手続きを進めることが、経営のスムーズなスタートにつながります。

当事務所では、会社設立のサポートしています。経営の第一歩を安心して踏み出すお手伝いをいたします。
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