戸籍の広域交付制度について知っておくべきこと
2024年の制度改正により、「戸籍の広域交付制度」が全国でスタートしました。この制度を活用すれば、本籍地がどこであっても、全国どこの市区町村役場でも戸籍謄本を取得できるようになり、大変便利になりました。この記事では、戸籍の広域交付制度の概要や、対象外となるケース、請求できる人の条件などをわかりやすく解説します。
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目次
戸籍の広域交付制度とは?
全国どこでも戸籍謄本が取得可能に
戸籍の広域交付制度とは、戸籍の本籍地に関係なく、全国の市区町村の窓口で戸籍謄抄本を取得できる制度です。
従来、戸籍謄本を取得するには、本籍地の市区町村役場に出向くか、郵送での取り寄せが必要でした。特に本籍地が遠方にある場合、時間も費用もかかり、手間のかかる手続きでした。
しかし、この広域交付制度により、たとえば東京都に住んでいても、大阪市が本籍地の戸籍謄本を都内の区役所で取得することが可能になります。最寄りの役所で手続きが完了するため、相続手続きや身分証明の取得などでの利便性が格段に向上しました。
ただし、注意点として、郵送請求や代理人による請求はできません。広域交付の利用は、窓口に本人が直接出向く必要があります。
広域交付の対象外となるケース
広域交付制度は、すべての戸籍に適用されるわけではありません。戸籍抄本や一部のコンピュータ化されていない戸籍謄本・除籍謄本籍は、広域交付制度の対象外となります。
ここでいうコンピュータ化されていない戸籍とは、昔の手書きやタイプ打ち等の縦書きの紙戸籍のことを指しているのではありません。それまでの手書きやタイプ打ち等の縦書きの紙戸籍が、順次、戸籍システムで作成する戸籍へ作り替えられ、それより前の紙戸籍は画像データとしてコンピュータ化されています。
ただ、一部の戸籍は、文字形や戸籍の記載の不備等により、コンピュータ化に対応することができず、紙で管理されたままとなっています。ですので、広域交付の対象外の戸籍というのは、紙で管理されているごく一部の戸籍のことで、ほとんどの戸籍・除籍が広域交付に対応しているということになります。
制度対象外の戸籍を取得する場合は、従来通り、本籍地がある市区町村役場へ直接請求することになります。
また、戸籍の附票も、広域交付の対象ではありません。
広域交付を請求できる人の範囲
広域交付制度を利用して戸籍謄本を取得できるのは、法律で明確に定められた直系の親族関係にある人のみです。
具体的には以下の方が対象です。
- 本人
- 配偶者
- 直系尊属(父母、祖父母など)
- 直系卑属(子、孫など)
一方で、兄弟姉妹や甥・姪などは対象外です。たとえ血縁関係があっても、制度上の対象でなければ請求はできませんので注意が必要です。
また、前述のとおり、戸籍の附票は広域交付の対象外であり、別途本籍地に請求する必要があります。
このように、戸籍の広域交付制度は非常に便利な制度ですが、対象外の書類や請求できる人の範囲に注意が必要です
戸籍の広域交付に必要なものと注意点
窓口での手続きと必要な身分証明書
戸籍の広域交付制度を利用するには、本人が市区町村の窓口に出向いて手続きする必要があります。郵送請求や代理人による請求はできないため、手続きの際は必ず本人が出向くことが前提となります。
そして、本人確認のための身分証明書が必須です。
- 運転免許証
- マイナンバーカード
- パスポートなど
発行に時間がかかる場合もある
本籍地のある役所で戸籍を取得する場合と異なり、広域交付で本籍地以外の役所に戸籍謄本を請求した場合、即日発行ができないこともあります。市区町村によっては、情報照会に時間がかかるため、窓口に行く時間帯によっては、後日再訪が必要となるケースもあります。
また、自治体によっては、戸籍の広域交付の受付時間を限定していることがあります。事前に自治体のホームページや窓口へ確認しておくことが大切です。
このように、広域交付を利用する際は、以下の点を意識しておくとスムーズです。
- 市区町村による受付時間の制限を事前に調べておくこと
- 有効な身分証明書を忘れずに持参すること
- 交付まで時間がかかることがあること
まとめ|制度を正しく理解して効率よく活用しよう
戸籍の広域交付制度は、本籍地に関係なく全国どこの市区町村でも戸籍謄本を取得できる非常に便利な制度です。相続や各種手続きにおいて、時間や移動の負担を減らすことができ、大きなメリットがあります。
しかし、即日発行されない可能性や、本人以外の請求ができない点など、いくつかの注意点もあります。制度を活用する際は、正しい情報を把握し、必要書類や受付時間などをあらかじめ確認しておくことが重要です。
広域交付制度をうまく利用することで、戸籍取得に関する手続きを効率化し、余計な時間や費用をかけずにスムーズに進めることができます。戸籍謄本が必要になった際は、この制度の活用をぜひ検討してみましょう。