権利証がなくても相続登記はできる?必要になるケースと確認しておきたいこと

相続した不動産の名義変更をしようとしたとき、「権利証が見当たらない」と気づくことがあります。
権利証が見つからないと、相続登記ができないのではないかと心配になるかもしれません。

通常の相続登記では、権利証がなくても手続きを進められます。
ただし、登記の状況などによっては、権利証が必要になる場合もあります。

また、相続登記の申請に使わない場合でも、権利証を確認することで、相続人が把握していなかった不動産に気づくことがあります。

この記事では、相続登記における権利証の役割と、権利証が見つからない場合に確認しておきたいことを解説します。

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相続登記に権利証は必要?

通常の相続登記では、権利証は必要ありません

権利証は、不動産の所有権を取得したときなどに交付された書類で、現在は「登記済証」や「登記識別情報通知書」などがこれに当たります。

通常の相続登記では、亡くなった方が不動産を所有していたことや、誰が相続するのかなどを、戸籍謄本、遺産分割協議書、住民票などの必要書類によって確認します。
そのため、原則として権利証を添付する必要はありません。

権利証が見当たらないからといって、相続登記ができないわけではありません。

ただし、登記上の住所と亡くなった方の住所を確認する書類がつながらない場合など、個別の事情によっては権利証が必要になることがあります。

相続登記の義務化については、「相続した不動産の名義変更をしないとどうなる?売却の流れと相続登記の注意点」で詳しく解説しています。

権利証と、相続登記に必要な書類は別のもの

当然ですが、権利証がなくても申請できるからといって、相続登記に、ほかの書類も不要になるわけではありません。

相続登記では、一般的に次のような書類を準備します。

  • 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本等
  • 相続人の戸籍謄本
  • 不動産を取得する相続人の住所を証する書類
  • 遺産分割協議によって相続する場合は、遺産分割協議書や相続人の印鑑証明書など
  • 固定資産評価額を確認するための書類

必要書類は、遺言書の有無や相続の方法、登記の状況などによって異なります。

権利証が必要になることがあるケース

通常の相続登記では権利証は不要ですが、例外的に必要になることがあります。

1.登記上の住所と、亡くなった方の住所を確認する書類がつながらない場合

不動産の登記記録に記載された住所と、亡くなった方の最後の住所が異なる場合、住所の変更履歴などを確認して、登記名義人と亡くなった方が同一人物であることを確認します。

しかし、住民票の除票や戸籍の附票などを取得しても、住所のつながりを確認できないことがあります。
このような場合には、権利証を利用して、登記名義人と亡くなった方が同一人物であることを確認する方法が検討されます。

2.遺贈によって不動産を取得する場合

遺言の記載内容が「遺贈」となっている場合、不動産を取得することを「相続」ではなく「遺贈」といいます。

遺贈による登記は、通常の相続登記とは手続きが異なります。


特に、法定相続人以外の人が遺贈によって不動産を取得する場合には、通常の相続登記とは異なる添付情報が必要となり、権利証が必要になります。
一方、相続人に対する遺贈については、取扱いが異なります。

遺言書がある場合は、遺言の内容や不動産を取得する人によって必要書類が変わるため、権利証の有無だけで判断せず、登記の方法を確認することが大切です。

相続登記の前に権利証を確認したい理由

ここまで説明したとおり、通常の相続登記では権利証の添付は必要ありません。
それでも、相続登記を進める際には、権利証が残っていないか確認することをおすすめします。

1.把握していなかった不動産が見つかることがある

権利証には、不動産を取得したときの情報が記載されています。

相続人が自宅や土地の存在を把握していても、私道や別の土地など、ほかにも不動産を所有していたことに気づいていない場合があります。
権利証を確認することで、相続人が把握していなかった不動産の存在が分かることがあります。

相続登記をする際には、相続する不動産に漏れがないか確認することも重要です。

2.すでに取り壊した建物の登記が残っていることがある

以前に建物を所有していて、その建物を取り壊した後、新しい建物を建てているケースがあります。
このとき、古い建物について滅失登記がされていなければ、実際には存在しない建物の登記記録が残っていることがあります。

固定資産税に関する資料だけでは、こうした建物を把握できない場合があります。
権利証などの古い資料を確認することで、過去に所有していた建物の情報に気づくこともあります。

もっとも、権利証だけで不動産のすべてを把握できるわけではありません。
名寄帳や所有不動産記録証明制度を利用するなど、ほかの資料もあわせて確認することが大切です。

権利証が見つからない場合はどうすればよい?

権利証が見当たらない場合でも、まずは相続登記に必要な情報や書類を確認しましょう。

次のような順番で整理すると、何をすればよいかが分かりやすくなります。

  1. 相続する不動産を確認する
    固定資産税の納税通知書や名寄帳、法務局の所有不動産記録証明制度の利用などを手がかりに、不動産の所在地や種類を確認します。
  2. 登記記録を確認する
    不動産の登記名義人や住所などを確認し、相続登記に必要な情報を整理します。
  3. 権利証が必要な事情がないか確認する
    登記上の住所と亡くなった方の住所を確認する書類がつながらない場合などは、追加の確認が必要になることがあります。
  4. 必要書類を準備して相続登記を進める
    権利証がない場合でも、ほかの必要書類がそろえば通常の相続登記を進められるケースがあります。

権利証を紛失したときの不動産登記については、「権利証を紛失したら?相続登記・不動産売買での対処法を司法書士が解説」で詳しく解説しています。

相続遺体の不動産登記については、不動産登記のご案内でもご紹介しています。

まとめ

通常の相続登記では、権利証がなくても手続きを進められます。
ただし、登記上の住所と亡くなった方の住所を確認する書類がつながらない場合や、遺贈による登記などでは、権利証が必要になることがあります。

また、権利証を確認することで、相続人が把握していなかった不動産や、登記上残っている古い建物に気づけることもあります。

大切なのは、権利証があるかどうかだけでなく、相続する不動産と必要な手続きを整理することです。

権利証が見つからない場合や、相続する不動産がどこまであるのか分からない場合は、現在の状況を確認するところから始めてみてください。

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