就業規則の時間単位年休規定|導入と運用の注意点
就業規則に時間単位の年次有給休暇(時間単位年休)を導入する際の規定と、運用上の注意点について解説します。従業員の多様な働き方を支援するため、まだ時間単位年休制度を導入していない企業は導入を検討しましょう。
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目次
時間単位年休を就業規則に規定するメリット
柔軟な働き方の推進
時間単位年休を導入することで、従業員は時間単位で有給休暇を取得できるようになり、より柔軟な働き方が可能になります。これにより、従業員は自身のライフスタイルや都合に合わせて、より柔軟に時間を使うことができるようになります。
例えば、育児中の従業員であれば、子供の急な発熱や学校行事への参加のために、数時間だけ休暇を取得することができます。また、介護が必要な家族がいる従業員であれば、介護サービスの利用時間に合わせて休暇を取得することも可能です。さらに、通院が必要な従業員であれば、病院の診療時間に合わせて休暇を取得することもできます。
このように、時間単位年休は、従業員の多様なニーズに対応できる柔軟な制度であり、働きがいのある職場環境づくりに貢献します。従業員は、時間単位で休暇を取得できることで、より主体的に自分の時間を管理し、ワークライフバランスを改善することができます。
従業員満足度の向上
時間単位年休の導入は、従業員のワークライフバランスを向上させるため、会社への満足度を高める効果が期待できます。会社への満足度は、の生産性向上や離職率低下にもつながるため、企業にとっても大きなメリットとなります。
企業は、時間単位年休の導入を通じて、従業員の心身の健康をサポートし、より働きやすい職場環境を実現することができます。
優秀な人材の確保
柔軟な働き方を求める求職者にとって、時間単位年休は魅力的な制度です。時間単位年休は、求職者のニーズに応えることができる制度であり、企業の人材獲得戦略において重要な役割を果たします。
時間単位年休を導入している企業は、求人広告や採用イベントなどで、そのメリットを積極的にアピールすることができます。実際に時間単位年休を取得している従業員の声を伝えることで、求職者に具体的なイメージを持ってもらい、入社意欲を高めることができます。
時間単位年休の就業規則への記載と注意点
時間単位年休の取得単位と回数
時間単位年休の取得単位は、1時間単位とすることが一般的ですが、2時間単位などのように数時間単位でも定めることができます。
時間単位年休は、従業員がより柔軟に休暇を取得できるようにするための制度ですが、無制限に取得できるわけではありません。年次有給休暇は、その制度趣旨から、本来1日単位で取得することが原則とされています。しかし、通院などのように時間単位で取得することが必要なときもあることから、年間5日までを上限として、時間単位年休を与えることが認められています(労基法39条4項2号)。
企業は、業務への影響を考慮し、適切な範囲で取得単位や回数、時間数の上限を設定しましょう。
労使協定と就業規則
時間単位年休の制度を導入するには、事業場の労働者の過半数を代表する者(事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合)との書面による労使協定が必要です(労基法39条4項、労基法施行規則24条の4)。
労使協定では、次の事項を定めることになります。
- 時間を単位として有給休暇を与えることができることとされる労働者の範囲
- 時間を単位として与えることができることとされる有給休暇の日数(五日以内)
- 時間を単位として与えることができることとされる有給休暇一日の時間数(一日の所定労働時間数(日によつて所定労働時間数が異なる場合には、一年間における一日平均所定労働時間数)を下回らないもの)
- 一時間以外の時間を単位として有給休暇を与えることとする場合には、その時間数(一日の所定労働時間数に満たないもの)
一斉に作業を行うことが必要とされる業務に従事する従業員は、時間単位年休の取得を認めることが困難なため、対象とる従業員の範囲を定めることができます。
休暇に関する事項は就業規則の絶対的必要事項です。そのため、時間単位年休を制度を採用する場合で、就業規則があるときは、就業規則にも記載しなければなりません。
時間単位年休の運用における課題と対策
時間単位年休の取得に関する注意点
時間単位年休の取得によって、業務に支障が生じる場合は、会社は取得時期の変更を求めることができます。
ただし、正当な理由なく拒否することはできません。取得時期の変更を求めることができるのは、業務に支障が生じる場合に限られます。業務に支障が生じる場合とは、代替が難しい業務がある場合などが該当します。企業は、取得時期の変更を求める際には、従業員にその理由を説明し、理解を得るように努めましょう。
取得状況の管理
時間単位年休の制度を導入する際は、その取得状況を正確に管理しなければなりません。勤怠管理システムやエクセルなどの表計算ソフトを使って、従業員の有給休暇の残日数と残時間数や取得状況を把握し、適切な労務管理をしましょう。
まとめ
企業は、時間単位年休の導入によって、従業員の満足度向上や生産性向上といったメリットを期待できます。就業規則への適切な規定と、運用上の課題への対策を通じて、時間単位年休を効果的に活用しましょう。また、優秀な人材の確保にもつながります。
まだ時間単位年休制度を導入していない企業は導入を検討してみてはいかがでしょうか。