株主総会のスケジュール|開催前に確認したいことと準備の流れを解説
株式会社では、毎事業年度に開催する定時株主総会のほか、役員変更や定款変更などのために臨時株主総会を開催することがあります。
株主総会を開催することになったとき、次のような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
- 株主総会はいつ開催すればよいのか
- 開催日の何日前までに招集通知を出せばよいのか
- 株主総会の前に何を準備すればよいのか
- 株主総会が終わった後には何をすればよいのか
株主総会は、開催日を決めるだけでは準備が整いません。
会社の機関設計や定款、株主構成などを確認し、招集通知や議案の準備、開催後の議事録作成や登記まで考えておく必要があります。
この記事では、株式会社の株主総会について、定時株主総会と臨時株主総会の違い、開催前に確認したいこと、招集通知の期限、準備から開催後の手続きまでを順番に解説します。
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株主総会のスケジュールは?まず全体の流れを確認
株主総会の準備は、一般的に次のような流れで進めます。
- 株主総会で決議する事項を整理する
- 定款・機関設計・株主構成を確認する
- 開催日と招集方法を決める
- 招集通知や議案などを準備する
- 株主に招集通知を発送する
- 株主総会を開催して決議する
- 株主総会議事録を作成する
- 必要に応じて変更登記などを行う
特に注意したいのが、招集通知の発送期限と、株主総会後の登記期限です。
招集通知は会社の機関設計などによって発送期限が異なります。また、役員変更など登記が必要な事項については、原則として変更が生じた日から2週間以内に登記を申請しなければなりません。
そのため、株主総会の開催日だけでなく、開催前後の手続きも含めてスケジュールを組むことが大切です。
株主総会はいつ開催する?
株主総会には、大きく分けて「定時株主総会」と「臨時株主総会」があります。
定時株主総会
会社法では、定時株主総会について、毎事業年度の終了後の一定の時期に招集することとされています。法律上、決算日から必ず2か月以内、または3か月以内に開催しなければならないと一律に定められているわけではありません。
ただし、定款に定時株主総会の開催時期が定められている場合は、その内容を確認する必要があります。
法人税の確定申告期限や役員の任期なども関係するため、決算後の予定をまとめて確認しておくとよいでしょう。
臨時株主総会
臨時株主総会は、定時株主総会以外で、必要に応じて開催する株主総会です。
- 取締役を追加・変更したい
- 取締役を解任したい
- 定款を変更したい
- 資本金を変更したい
- 組織再編などについて決議したい
といった場合に開催することがあります。
定時株主総会まで待つことが難しい場合や、会社の状況に応じて早急に決議する必要がある場合には、臨時株主総会を開催して対応します。
取締役の解任については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
→「取締役を解任するには?手続き・損害賠償・解任前に確認したいことを解説」
株主総会を開催する前に確認したい5つのこと
株主総会の開催日を決める前に、まず会社の状況を確認しておきましょう。同じ役員変更や定款変更であっても、会社の機関設計や定款の内容によって必要な手続きが異なることがあります。
1.株主総会で何を決議するのか
最初に、今回の株主総会で何を決議する必要があるのかを整理します。
例えば、役員変更の場合でも、次のような違いがあります。
- 取締役が任期満了になるため再任する
- 新しい取締役を選任する
- 取締役を解任する
- 代表取締役を変更する
代表取締役の選定については、取締役会設置会社かどうかなどによって、決定する機関や手続きが異なります。また、定款変更や役員解任などは、通常の普通決議とは異なる決議要件が適用されます。
今回の議案について、株主総会で何を決める必要があるのかを最初に確認しましょう。
2.会社の機関設計を確認する
次に、会社の機関設計を確認します。
特に重要なのが、取締役会を設置している会社かどうかです。取締役会設置会社と取締役会非設置会社では、株主総会で決議できる事項や招集手続きなどに違いがあります。
3.定款の内容を確認する
株主総会の手続きを進める際には、会社法だけでなく、自社の定款も確認する必要があります。
特に、次の事項を確認しておきましょう。
- 株主総会の招集方法
- 招集通知の期間
- 株主総会の議長
- 取締役の任期
- 事業年度
- 基準日
- 決議方法
取締役会を設置していない非公開会社では、定款によって招集通知の期間を1週間より短く定めている場合もあります。法律上の原則だけで判断せず、会社ごとの定款の内容を確認することが重要です。
4.株主構成と議決権を確認する
株主総会で決議を成立させるためには、誰が株主で、どの程度の議決権を持っているのかを確認する必要があります。
- 株主は誰で、それぞれ何株を保有しているか
- 議決権は何個あるか
- 今回の決議に必要な議決権を確保できるか
などを事前に確認しておきましょう。株主の構成によっては、招集通知の発送や決議の成立に時間がかかることもあります。
5.基準日を確認する
会社が基準日を定めている場合には、その日に株主名簿に記載・記録されている株主が、権利を行使できる株主となります。
定時株主総会で議決権を行使できる株主を決めるために、事業年度末日を基準日としている会社があります。
会社法上、基準日を定めた場合、その基準日から3か月以内に行使する権利に限られます。また、基準日を定めたときは、原則として基準日の2週間前までに公告する必要があります。ただし、定款に基準日と対象となる権利について定めがある場合は、公告が不要となることがあります。
定款に定められた基準日と株主総会の開催時期が合っているか、確認しておきましょう。
株主総会の準備から開催までの流れ
開催前の確認ができたら、具体的な準備に進みます。
STEP1 株主総会の議題と議案を整理する
まず、株主総会で決議する事項を具体的に整理します。
取締役を選任する場合には、誰を取締役に選任するのか、選任後の役員構成はどうなるのかなどを確認します。
議案の内容によって必要な決議要件や、その後の登記手続きも異なります。株主総会で決議する事項と、その後に必要な手続きをあわせて整理しておきましょう。
STEP2 招集する取締役などを確認する
株主総会を招集する者や、招集を決定する機関を確認します。
取締役会設置会社では、原則として取締役会の決議によって株主総会の招集を決定します。取締役会非設置会社では、会社法や定款に従って取締役が招集を決定します。
取締役会設置会社の場合には、株主総会の招集に先立って取締役会を開催し、開催日時や場所、目的事項などを決定することになります。
取締役会議事録の記載事項については、こちらの記事で詳しく解説しています。
→ 「取締役会議事録の記載事項とは?決議要件・作成方法・書面決議まで解説」
STEP3 株主総会の開催日と場所を決める
招集通知の発送期限や必要な準備期間を考慮して、開催日を決めます。開催場所についても、定款や会社法上のルールを確認したうえで決定します。
株主総会の開催日を決める際には、株主の都合だけでなく、議案や必要書類の準備、開催後の登記手続きなども考慮しておきましょう。
STEP4 招集通知や必要書類を準備する
開催日が決まったら、招集通知を作成します。
招集通知には、原則として次の事項を記載します。
- 株主総会の日時
- 株主総会の場所
- 株主総会の目的事項(議題)
- その他、法令で定められた事項
会社の機関設計や議決権の行使方法などによって、必要な記載事項や書類は異なります。書面による議決権行使や電磁的方法による議決権行使を認める場合には、株主総会参考書類などの準備も必要になります。
STEP5 招集通知を発送する
招集通知は、会社法や定款で定められた期間を確保して株主に発送します。具体的な通知期限については、次の見出しで説明します。
株主の住所や連絡先に間違いがないか、通知の発送漏れがないかも確認しておきましょう。
STEP6 株主総会を開催して決議する
株主総会当日は、議案について審議し、必要な決議を行います。議案ごとに、普通決議や特別決議など、必要な決議要件を満たしているか確認します。
特に、取締役の解任や定款変更などは、通常の事項とは異なる決議要件が適用されるため、事前に確認しておきましょう。
STEP7 株主総会議事録を作成する
株主総会が終了したら、議事録を作成します。株主総会議事録には、開催日時や場所、出席状況、議事の経過の要領やその結果など、法令で定められた事項を記載します。
役員変更などの登記を申請する場合には、株主総会議事録を登記申請の添付書類として使用します。議事録の内容と実際の決議内容に食い違いがないように作成しましょう。
株主総会議事録については、こちらの記事で詳しく解説しています。
株主総会の決議を、一定の要件を満たす場合には、株主総会を実際に開催せず、書面や電磁的方法による株主全員の同意によって決議があったものとみなす方法もあります。
株主総会の招集通知は何日前までに出す?
株主総会の招集通知の発送期限は、会社の機関設計や議決権の行使方法などによって異なります。
会社法299条では、原則として株主総会の日の2週間前までに招集通知を発することとされています。ただし、公開会社でない株式会社については、一定の場合に1週間前までとすることができます。
主な違いは次のとおりです。
| 会社の状況 | 招集通知の発送期限 |
|---|---|
| 公開会社 | 原則として株主総会の日の2週間前まで |
| 公開会社でない会社 | 原則として株主総会の日の1週間前まで |
| 取締役会非設置の非公開会社で、定款に短縮期間の定めがある場合 | 定款で定めた期間まで短縮可能 |
ただし、書面投票や電子投票を採用する場合などには、非公開会社であっても2週間前までの通知が必要になります。
取締役会設置会社では、招集通知は原則として書面で行う必要があります。株主の承諾を得て電磁的方法による通知を行うこともできます。
主全員の同意がある場合には、会社法300条により、原則として招集手続きを省略して株主総会を開催できる場合もあります。ただし、書面投票や電子投票を採用する場合などには例外があります。
自社の招集通知の期限を判断するときは、会社法だけでなく、定款や株主総会での議決権行使方法も確認しましょう。
株主総会の後に必要な手続き
株主総会は、開催して議事録を作成したら終わりとは限りません。決議した内容によっては、法務局への登記申請や社内手続きなどが必要になります。
| 株主総会で決議した事項 | 株主総会後に確認する手続き |
|---|---|
| 取締役・監査役の選任 | 役員変更登記 |
| 代表取締役の変更 | 代表取締役の変更登記 |
| 商号の変更 | 商号変更登記 |
| 目的の変更 | 目的変更登記 |
| 本店所在地の変更 | 本店移転登記(決議機関などの確認が必要) |
| 資本金の額の変更 | 資本金の額の変更登記 |
登記が必要な事項については、原則として変更が生じた日から2週間以内に登記を申請する必要があります。
株主総会で取締役を選任した場合には、選任の効力が生じた日などを確認したうえで、登記期限を判断します。株主総会を開催する前から、開催後にどのような登記が必要になるのかを確認しておくことが重要です。
役員変更について詳しく知りたい場合は、こちらの記事も参考になります。
→「役員(取締役や監査役など)の任期満了・重任」
株主総会のスケジュール例|6月に開催する場合
例えば、3月決算の会社が6月に定時株主総会を開催する場合、次のようなスケジュールが考えられます。
| 時期 | 主な準備・手続き |
|---|---|
| 4月 | 決算内容の確認、計算書類などの準備 |
| 5月 | 定款・株主構成・役員任期の確認、議案の整理 |
| 5月下旬 | 招集事項の決定、招集通知などの準備 |
| 6月上旬 | 招集通知の発送(会社に適用される期限に注意) |
| 6月 | 定時株主総会の開催、決議、議事録作成 |
| 株主総会後 | 必要に応じて役員変更などの登記申請 |
これはあくまで一般的な準備例です。実際には、会社の機関設計、定款、株主構成、招集通知の期間、議案の内容などによってスケジュールが異なります。基準日を設定している場合には、その基準日と株主総会の開催日の関係も確認する必要があります。
役員の任期満了に伴う変更登記などが予定されている場合には、株主総会後の登記期限も考慮して準備しておきましょう。
株主総会の準備で注意したいこと
株主総会の準備では、次のような点にも注意が必要です。
役員の任期を確認する
定時株主総会では、役員の任期満了に伴って、取締役や監査役の選任が必要になることがあります。任期満了後も同じ人が役員を続ける場合であっても、再任の決議が必要です。
役員の任期は、会社の機関設計や定款によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
株主全員の同意があれば招集手続きを省略できる場合がある
株主全員の同意がある場合には、原則として招集手続きを経ずに株主総会を開催することができます。また、一定の要件を満たせば、株主総会を開催せずに書面決議で対応できる場合もあります。
招集手続きの省略と書面決議は異なる制度です。それぞれの要件を確認して利用する必要があります。
議事録の内容と登記内容を一致させる
株主総会議事録は、会社の意思決定を記録するだけでなく、登記申請の添付書類として使用することもあります。株主総会を開催する前に、登記に必要な書類や決議内容を確認しておくと、開催後の手続きを進めやすくなります。
まとめ|株主総会は開催前後の手続きを含めて準備する
株主総会の準備では、開催日だけを決めるのではなく、決議事項や会社の状況を確認したうえで、必要な手続きを進めることが大切です。
- 定時株主総会かまたは臨時株主総会にするのか
- 株主総会で決議する事項
- 会社の機関設計と定款
- 株主構成と議決権
- 基準日の有無
- 招集通知の方法と発送期限
- 株主総会議事録の作成
- 株主総会後の登記や社内手続き
株主総会は、会社の重要な事項を決める場です。
「いつ開催するか」だけでなく、「何を決めるための株主総会なのか」「開催後に何が必要なのか」まで整理してスケジュールを組むことで、準備を進めやすくなります。
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