株主名簿とは?作成方法・保存義務・閲覧請求まで企業が押さえるべきポイント

株主名簿は、会社にとって重要な情報源です。株式会社は、株主名簿を作成しなければなりません。株主の氏名や住所、株式数などを正確に記録し、管理することは、円滑な会社運営に不可欠です。この記事では、株主名簿の作成と記載事項、株主名簿の閲覧や謄写の請求まで詳しく解説します。

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株主名簿とは?その役割と重要ポイント

株主名簿の意義と法律上の根拠

株主名簿は、株式会社における株主情報の管理を目的とした重要な書類です。
株主名簿は、会社法によってその作成を義務付けられており(会121条)、株式会社は株主名簿をその本店に備え置かなければなりません(会125条)。

株主名簿には、株主の基本情報や持株数などが正確に記録され、株主総会の運営、議決権行使、配当金支払いなど会社運営全般に不可欠な役割を果たします。さらに、会社の所有者を明確にする資料として、合併・会社分割などの企業再編局面でも欠かせません。

株主名簿に記載する主な内容

株主名簿には、以下の項目が記載されます(会121条)。

  • 株主の氏名または名称(個人の場合は氏名、法人の場合は正式な会社名)
  • 株主の住所
  • 所有する株式数
  • 株式の種類(例:普通株式・優先株式など)
  • 株式の取得日
  • 株券を発行していればその株券番号

これらの情報は、株主への連絡や株主総会における議決権の確定、配当金支払い時の正確な事務処理に必要となります。特に住所情報は通知等が確実に届くように常に最新のものを記載・管理しましょう。

株式の取得日は、株主が株式を取得した日を記載します。株式の取得日は、基準日などの権利行使に関係しますので、できるだけ正確に記録しておくことがポイントです。

株主総会の基準日についてはコチラ

株主による株主名簿記載事項の交付請求

株主名簿に記載された株主は、株券発行会社であるときを除き、株式会社に対し、株主名簿に記載(または記録)された自己の株主名簿記載事項を記載した書面の交付(または記録した電磁的記録の提供)を請求することができます(会122条1項、4項)。

会社が株主に書面を交付する場合、代表取締役はその書面に自署または記名押印をする必要があります(会122条2項)。この交付手続きについては、会社の定款や社内規定で詳細が定められている場合があるため、必ず事前に内容を確認しましょう。

株主名簿の閲覧・謄写請求の方法

株式会社の株主や債権者は、理由を明らかにした上で、営業時時間内は株主名簿の閲覧または謄写を請求できます(会125条2項)。会社は、株主や債権者が自己の権利行使またはその調査以外の目的で請求した場合を除き、この請求を原則として拒むことはできません(会125条3項)。

また、親会社の株主も、必要な場合は裁判所の許可を得て、理由を明らかにして株主名簿の閲覧・謄写請求を行うことが可能です(会125条4項)。

これらの請求手続きについても、定款や社内ルールで具体的な方法が定められていることがありますので、必ず社内規程も確認しましょう。

まとめ

株主名簿は、株主の権利保護や会社運営の透明性を担保する上で不可欠な基本書類です。株主名簿の作成・備置き・管理は会社法で義務付けられており、中小企業であっても例外はありません。

本記事が、貴社の株主名簿管理の見直しや適切な運用の参考になれば幸いです。