役員変更の登記方法と注意点(代表取締役の場合)

代表取締役が交代したときは、会社の登記も変更する必要があります。
ただ、「代表取締役が変わった」といっても、

  • 取締役会を設置している会社なのか
  • 取締役会を設置していない会社なのか
  • 新しい代表取締役が就任するのか
  • これまでの代表取締役が退任するのか
  • 代表取締役の住所も変わるのか

によって、必要な手続きや書類が変わります。

また、代表取締役が変わっていない場合でも、取締役の任期満了と再任によって、代表取締役を含む役員の変更登記が必要になることがあります。

この記事では、代表取締役の変更登記について、会社の機関設計ごとの違いや、登記の期限、必要書類、費用などを整理します。

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代表取締役が変わったら、まず確認したいこと

代表取締役の変更登記をするときは、まず次の点を確認します。

確認することなぜ確認が必要?
取締役会を設置しているか代表取締役の選定方法が異なります
誰が代表取締役になるのか就任・退任の登記が必要になります
取締役にも変更があるか取締役の変更登記も必要になる場合があります
代表取締役の住所に変更があるか住所変更の登記が必要になる場合があります
任期満了による再任ではないか
代表取締役が同じ人でも「重任」の登記が必要になることがあります

代表取締役の選定方法や必要書類は、会社の機関設計や定款の定めによって異なります。

そのため、「代表取締役が変わったから、この書類を出せばよい」と一律に考えるのではなく、会社の現在の登記内容や定款、今回の役員変更の内容を確認することが大切です。

代表取締役の選任(選定)・退任と登記の基本

取締役会設置会社の場合

取締役会設置会社では、原則として取締役会が代表取締役を選定します。

代表取締役は取締役の中から選ばれるため、代表取締役が取締役としての地位を失う場合には、代表取締役としての地位も終了します。

そのため、代表取締役になっている取締役が任期満了で退任し、新しい取締役が代表取締役になる場合などは、取締役の変更と代表取締役の変更の両方について確認する必要があります。

取締役会を設置していない会社の場合

取締役会を設置していない株式会社では、代表取締役を定めず、取締役がそれぞれ会社を代表する「各自代表」とすることもできます。
一方で、代表取締役を1名に定めることもできます。

代表取締役を定める方法は、定款の定めによって、

  • 株主総会の決議
  • 定款の定め
  • 定款の定めに基づく取締役の互選

などがあります。

どの方法で代表取締役を定めることができるかによって、必要となる議事録や就任承諾書なども変わります。
そのため、取締役会の有無だけでなく、定款にどのような定めがあるかも確認する必要があります。

代表取締役の変更登記に必要な書類

代表取締役の変更登記では、会社の機関設計や代表取締役の選定方法、今回の変更内容によって、必要な書類が変わります。
ここでは代表的なケースを紹介します。実際に必要となる書類は、会社の定款や登記内容などを確認する必要があります。

取締役会設置会社の場合

代表取締役を取締役会で選定する場合には、一般に次のような書類が関係します。

  • 取締役会議事録
  • 就任承諾書
  • 新しく就任する代表取締役の印鑑証明書
  • 取締役会議事録に押印した取締役・監査役の印鑑証明書

ただし、代表取締役の変更内容や会社の状況によって必要書類は異なります。

例えば、変更前の代表取締役が取締役会議事録に登記所へ提出している印鑑を押印している場合など、印鑑証明書の取扱いが変わるケースがあります。

取締役会を設置していない会社の場合

取締役会を設置していない会社では、代表取締役の定め方によって必要書類が変わります。

各自代表、株主総会又は定款で定める

  • 株主総会議事録
  • 株主リスト
  • 必要に応じた就任承諾書
  • 印鑑証明書

などが関係します。

定款の定めに基づく取締役の互選で定める

  • 定款
  • 取締役の互選書
  • 就任承諾書
  • 必要な印鑑証明書

などが必要になります。

このように、代表取締役の変更登記は、会社の機関設計と定款の内容によって必要書類が変わる点に注意が必要です。

なお、株主総会で取締役を選任する場合などには、株主リストが登記の添付書面となることがあります。株主リストについては、別の記事で詳しく解説しています。

→ 株主リストについてはこちら

代表取締役の住所が変わった場合

代表取締役は氏名だけでなく、住所も登記事項です。
そのため、代表取締役の住所に変更があった場合には、住所変更の登記も必要になります。

また、2024年10月1日から、一定の要件を満たす株式会社について、代表取締役等の住所の一部を登記事項証明書等に表示しない「代表取締役等住所非表示措置」が始まりました。

ただし、この制度を利用している場合でも、住所変更の登記そのものが不要になるわけではありません。

住所に変更がある場合には、変更登記が必要です。
また、住所非表示措置を利用している場合、住所変更後も非表示を継続するためには、改めて申出が必要となります。

詳しくは、こちらの記事で解説しています。
代表取締役等の住所非表示措置の全面ガイド

代表取締役が変わっていなくても登記が必要なことがあります

「代表取締役はずっと同じだから、役員変更登記は必要ない」と思っていないでしょうか。

役員の任期が満了し、同じ人が時間的間隔がなく(同日に)続けて選任、就任された場合には、「重任」として役員変更の登記が必要です。

例えば、

取締役の任期満了
↓
株主総会で同じ取締役を再任
↓
代表取締役も同じ人

という場合でも、役員変更登記が必要になります。

「役員は変わっていないから大丈夫」と考えず、任期を確認しておくことが大切です。

重任・再任については、こちらの記事で詳しく解説しています。
役員の再任・重任とは?変更がなくても登記が必要な理由

登記の期限

株式会社の役員変更登記は、原則として登記すべき事由が発生した日から2週間以内に申請する必要があります。

例えば、取締役の就任については、株主総会で選任された日ではなく、原則として本人が就任を承諾した日が登記期間の起算点になります。
期限を過ぎたからといって、その後の登記申請ができなくなるわけではありません。

ただし、登記を怠った場合には、代表取締役が過料の対象となる可能性があります。
そのため、役員変更が決まったら、登記だけでなく「いつから2週間なのか」まで確認しておくことが重要です。

登録免許税

役員変更登記の登録免許税は、原則として次のとおりです。

資本金の額登録免許税
1億円以下1万円
1億円を超える3万円

司法書士に登記申請を依頼する場合は、これとは別に司法書士報酬がかかります。

代表取締役の変更登記は、会社の状況を確認してから

代表取締役の変更登記は、代表者が変わったことだけを確認して申請すればよいとは限りません。

実際には、

  • 取締役会を設置しているか
  • 定款で代表取締役の選定方法をどう定めているか
  • 取締役そのものにも変更があるか
  • 任期満了による重任ではないか
  • 代表取締役の住所にも変更があるか
  • 株主総会や取締役会で、どのような決議をしたのか

などを確認する必要があります。

役員変更のタイミングは、会社の組織や登記を見直すきっかけにもなります。

「代表取締役が変わったけれど、何を登記すればいいのか分からない」
「役員は変わっていないけれど、任期が来ている」
「定款と現在の役員構成が合っているか分からない」
という場合は、まず現在の登記内容と会社の状況を整理するところから始めるとスムーズです。

「何を登記すればいいのか分からない」という場合も、現在の会社の状況を確認しながら、
必要な手続きを整理することからご相談いただけます。

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