不正登記防止申出とは?登記識別情報の失効申出とは?制度の概要と手続

第三者による不正な登記を防止する対策として、不正登記防止申出と登記識別情報の失効の申出の制度があります。不正登記防止申出は、登記識別情報(登記済権利証)が盗難にあい、第三者による不正な登記がされる差し迫った危険があるなどの場合に、その不正な登記申請を防ぐための制度です。登記識別情報失効の申出は、登記識別情報そのものを無効化する制度です。本記事では、不正登記防止申出と登記識別情報の失効申出の概要、手続きについて解説します。

投稿者プロフィール

投稿者のイラスト画像

不正登記防止申出

不正登記防止申出とは何か?

不正登記防止申出は、不動産の所有者が、登記識別情報(登記済権利証)や実印が不正に利用され、第三者による不正な登記がされる差し迫った危険がある場合に、申出から3か月以内に不正な登記がされることを防止するために法務局に対して行う申出です(不動産登記事務取扱手続準則35条)。これにより、申出に係る登記申請があった場合には、法務局がその旨を申出者に通知をすることになります。

また、不正登記防止申出があり、その申出を相当と認める場合において、その申出に係る登記申請がなされたときは、法務局による本人確認の調査がなされることとなります。

不正登記防止申出は、申出から3か月以内に不正な登記がされることを防止するための制度です。そのため、申出から3か月以内であっても登記申請があった場合に、不動産登記の権利移転などの登記が禁止されるものではありませんので注意が必要です。

申出ができる要件

申出ができるのは、不動産の登記名義人またはその相続人などの正当な権利者に限られます。

申出人は、申出をするときに、申出をするに至った経緯及び申出が必要となった理由に対応する措置を採っていることを確認されます。例えば、登記識別情報が盗難にあい、被害届を警察署に提出したことなどが、申出の経緯及び措置にあたります。

不正登記防止申出の手続き

法務局への申出は、原則として、申出人本人が、法務局に出向かなければなりません。ただし、その者が法務局に出向くことができないやむを得ない事情があると認められる場合に限り、委任による代理人が、本人に代わっ申出をすることができます。

申出書には、実印を押し、印鑑証明書を添付しなければなりません。登記名義人の相続人が申出をするときは、相続人であることを証する書面も必要になると考えられます。また、申出をするときは、マイナンバーカードなどの本人確認ができる書類も必要です。

なお、不正登記防止申出の手続き自体に費用はかかりません。

登記識別情報の失効の申出

失効申出の制度概要

登記識別情報(以前の登記済権利証)の失効申出は、登記識別情報を紛失した場合や、第三者に悪用される恐れがある場合に、その登記識別情報の効力を失効させる制度です(不動産登記規則65条)。

登記識別情報は、所有権移転や抵当権設定などの登記申請の際に必要になります。この登記識別情報の効力を失わせることにより、不動産における不正の登記を防止することができます。

失効申出のメリット・デメリット

失効申出を行うことで、登記識別情報が悪用されるリスクが軽減できます。紛失した登記識別情報のことを常に気にすることなく、安心して日常生活を送ることができるメリットがあります。しかし、登記識別情報の失効の申出をしたとしても、不動産登記の権利移転などの登記を禁止させるものではないのは不正登記防止申出と同様です。

登記識別情報は、一度失効させると再発行できません。登記識別情報の効力を失わせても、不動産の名義変更や抵当権設定登記申請は可能です。しかし、登記識別情報がないために代替的な措置をとる場合は、その代替的措置により費用がかかることがあります。

権利書がない場合の登記申請についてはコチラ

一度失効させると再発行できないため、本当に失効させる必要があるのか、他の方法で対処できないかなど、十分に検討した上で、手続きを行うようにしましょう。

失効申出の手続き

失効の申出ができる者は、登記名義人やその相続人などの一般承継人となります。登記識別情報の失効の申出は、オンラインでも書面でもどちらでもかまいません。申出には、申出人の印鑑証明書(作成後3か月以内のもの)が必要になります(不動産登記規則65条10項、不動産登記令16条)。

不動産の登記名義人の相続人が申出をするときは、相続人であることを証する戸籍謄本等が必要です。

まとめ

不正登記防止申出は、不正な登記が行われる可能性が高い場合に、法務局に申し出る制度です。登記識別情報の失効申出は、不正な登記が行われる可能性の有無に関係なく、その情報の効力を失わせるための制度です。

所有権移転の登記申請には、印鑑証明書の添付が必要となります。一般的に、実印の管理ができていれば、登記申請をされることはほとんどありません。たとえ、不正に不実な登記がなされたとしても、その登記は無効です。

当事務所は、登記の専門家として、登記の相談を承っております。お気軽にご連絡ください。