合同会社における役員追加の手続きと注意点
合同会社において役員(すなわち社員)の追加を検討することがあります。
会社の経営体制を強化するため、事業を拡大したい、税務上の観点などの理由から検討することがあります。
合同会社は株式会社と比べて定款による自由な設計が可能ですが、株式会社と大きく異なる点も多いです。
この記事では、定款に別段の定めがない合同会社を前提に、役員を追加するときの手続きと注意点について解説します。
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目次
合同会社における役員追加の概要
役員(すなわち社員)の追加と定款変更について
役員を追加する場合、合同会社の定款を変更する必要があります。
なぜなら、合同会社は株式会社と違い、経営と所有が分離されていないことが基本的な考え方なので、役員=合同会社の社員(株式会社でいうところの株主)となり、合同会社の社員は定款の記載事項となっているからです。
定款は会社内の基本的な規約が書かれたもので、会社の運営に関する重要な事項が記載されています。
役員を追加するには、定款に新たに役員となる社員の氏名や住所、出資額などを追加する必要があります。
そして、定款変更は、原則、社員全員の同意を得る必要があります。
合同会社の社員は業務を執行しないことができる
合同会社の社員には、業務執行社員と業務を執行しない社員の2種類があります。
名前の通り、合同会社の業務を執行するかしないかにより区別がなされます。
業務を執行しない社員であっても、社員であることには変わりないので、定款の記載事項となりますが、登記する必要はありません。
しかし、登記が不要だからとの理由で、合同会社の役員を、業務を執行しない社員とすることは適切ではありません。
業務を執行しない社員とすると、役員として認められなくなる可能性が高くなります。
社員の追加手続きの具体的な流れ
社員は合同会社の持分を有している(=所有している)必要があるので、金額の大小に関わらず合同会社に出資をしている状態でなければなりません。
出資をする方法として、新たに金銭等を合同会社に出資する方法と既存の社員から持分を譲り受ける方法の大きく2つの方法があります。
新たな出資による社員の追加
新たな出資による社員追加は、会社の資本金が増加するので、資本金の額の変更登記も必要になります。
出資額全額を資本金にする必要はなく、資本金を一部のみ又はゼロとすることもできます。
資本金の額は、社員全員の一致ではなく、業務執行社員の過半数の一致で決定しますので、定款変更のための全社員の同意以外に、業務執行社員の過半数の一致が必要になります。
なお、社員を追加する定款変更の時に出資の履行が完了していない場合は、出資の履行が完了した時に社員となります。
新たな出資を伴わない持分の譲受による社員の追加
新たな出資を伴わない持分譲受による社員の追加は、既存の社員から持分を譲受けることで合同会社の社員となる方法です。
この方法は、新たな出資を必要としません。
また、持分の譲渡は他の社員全員の同意が必要になりますので、定款変更のための全社員の同意の他に、持分の譲渡の承認決議が必要になります。
この持分の譲渡に係る承認は、定款で別段の定めができることとされていますので、別段の定めがあるときは、その内容に添った承認決議を得る必要があります。
既存社員から持分を有償か無償での譲り受けるは、税金が発生します。
有償で譲り受けた(売買した)場合、既存社員に譲渡所得税が発生し、無償で譲り受けた(贈与した)場合、は、新しく役員となる社員に贈与税が発生します。
合同会社の状況や評価により税金の発生の有無や金額が決まりますので、顧問税理士さんに相談するのをおススメします。
社員追加時の注意点
全社員の数が2人などの偶数の場合
合同会社の業務の執行は、業務執行社員がしますが、業務の執行の内容は社員の過半数により決めることとなっています。
持分割合(出資割合)ではなく頭数で決定します。
例えば、全社員の数が2人の場合、1人が反対すれば業務が行えないこととなってしまいますので、状況によっては定款で別段の定め定めた方が良いといえるでしょう。
社員の報酬について
社員の報酬については、定款の記載事項となっていません。
株主会社は株主総会で決定します。
合同会社は、定款に別段の定めがなければ社員総会という概念がないので、社員が複数人いる場合は、なにか規定を置いておいた方がいいといえます。
株式会社と同様に、持分割合により議決権を持たせて、社員総会を開催するよう定款で定める検討をしてもいいでしょう。
まとめ
重要なポイントと振り返り
合同会社において役員(社員)の追加を検討することきは、手続き以外に注意点がいくつか存在します。
後に争いにならないためにも、新たな社員を追加する際にはじっくり検討してから手続きをすることをお勧めします。
当事務所は、合同会社の社員の加入手続きや定款のチェック・見直しにも対応しております。
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