役員の旧姓での登記|旧氏を併記する方法と必要書類を解説
会社の登記では、取締役や監査役などの役員について、現在の氏名とあわせて、婚姻前などの旧氏(旧姓)を登記記録に記録することができます。
「以前の氏名でも仕事をしているので、会社の登記にも旧姓を載せたい」という場合などに利用できる制度です。
この記事では、会社・法人登記における旧氏の記録について、どのような役員が対象になるのか、いつ・どのように申し出るのか、必要な書類などを整理します。
役員の旧姓(旧氏)は登記できる?
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役員の旧姓(旧氏)は登記できる?
旧姓だけで役員の氏名を登記することはできない
結論からいうと、取締役や監査役などの役員について、現在の氏名ではなく、旧姓だけを使って登記することはできません。
原則として、役員の氏名は現在の氏名で登記します。
一方で、申出をすることで、現在の氏名に加えて旧氏を登記記録に記録することができます。
登記記録上は、現在の氏名の後に旧氏が括弧書きで表示されます。
そのため、
現在の氏名だけでは、以前の氏名で仕事をしていたことが分かりにくい。
という場合などに、旧氏を記録することができます。
なお、一般に「旧姓」と呼ばれるものですが、会社・法人登記では「旧氏」という言葉が使われています。この記事では、分かりやすいように「旧姓(旧氏)」と表記し、その後は「旧氏」と表記します。
旧氏を登記できる役員・法人
旧氏を記録できるのは、株式会社の取締役だけではありません。
株式会社では、取締役・監査役・執行役・会計参与・会計監査人・清算人などが対象となります。
また、旧氏の記録は株式会社以外の法人についても利用できます。
たとえば、合同会社などの持分会社の社員や、一般社団法人・一般財団法人の役員についても、一定の要件のもとで旧氏を記録することができます。
なお、旧氏を記録することができる範囲は法人の種類や役職によって異なるため、自分の法人が対象になるか確認することが大切です。
旧氏を登記するための手続き
旧氏の記録は、役員変更などの登記申請と同時に申し出ることができます。
また、現在では、登記申請をしない場合でも、旧氏の記録だけを単独で申し出ることができます。
そのため、必ずしも「役員変更の登記をするときまで待たなければならない」というわけではありません。
登記申請と同時に申し出る場合
役員の就任や氏名変更などで登記申請をするときに、旧氏の記録をあわせて申し出ることができます。
たとえば、結婚などによって役員の氏名が変わり、その変更登記をする場合に、旧氏の記録も申し出るといった方法です。
また、重任などの登記申請と同時に旧氏の記録を申し出ることもできます。
役員変更そのものについては、以下の記事で詳しく解説しています。
また、役員の任期満了や重任についてはこちらをご覧ください。
登記申請をせず、旧氏の記録だけを申し出る場合
現在は、会社について別の登記申請をする予定がなくても、旧氏の記録だけを申し出ることができます。
そのため、
「次の役員変更登記まで待たないと旧氏を記録できない」
ということではありません。
現在の会社の登記記録に旧氏を記録したい場合は、単独で申し出る方法もあります。
旧氏の記録に必要な書類
旧氏を記録するためには、原則として、記録しようとする旧氏を証する書面を添付する必要があります。
初めて旧氏を記録する場合には、原則として、記録しようとする旧氏の記載がある除籍抄本等から、現在の氏の記載がある戸籍に至るまでの戸除籍抄本等が必要になります。
ただし、すでに住民票やマイナンバーカード、運転免許証などに旧氏が併記されている場合には、一定の条件のもとで、その写しによって旧氏を証することができる場合があります。
どの書類が必要になるかは、現在の氏と記録したい旧氏との関係や、すでに旧氏が公的書類に記載されているかによって変わります。
すでに旧氏を記録している場合
すでに登記記録に旧氏が記録されていて、別の旧氏を記録したい場合には、記録されている旧氏より後に称していた旧氏であることなど、一定のルールがあります。
過去の氏の変遷によって必要となる書類も変わるため、単純に希望する旧氏だけを示せばよいとは限りません。
記録した旧氏を変更・取りやめることはできる?
一度記録した旧氏についても、一定の手続きをすることで、その後の取り扱いを変更することができます。
旧氏を記録していたものの、その後、旧氏の記録を希望しなくなった場合には、旧氏の記録を希望しない旨を申し出ることができます。
この申出については、旧氏を記録するときとは異なり、添付書類は必要ありません。
一度記録したからといって、ずっと旧氏を表示し続けなければならないわけではありません。
役員変更登記と旧氏の記録は別々に考える
役員の氏名変更や重任などがある場合には、その登記手続きとあわせて旧氏の記録を申し出ることができます。
一方で、現在は登記申請をせずに旧氏の記録だけを申し出ることもできます。
そのため、
「役員変更があるから旧氏を記録する」
という場合だけでなく、
「現在の登記記録に旧氏を記録しておきたい」
という場合にも、手続きの方法を検討できます。
役員の任期や重任については、会社ごとに定款や役員構成などを確認する必要があります。
単に「役員の氏名が変わった」「同じ役員が続ける」というだけでなく、現在の登記状況を確認したうえで、必要な登記や申出を整理することが大切です。
まとめ
会社・法人登記では、役員の現在の氏名に加えて、旧氏を登記記録に記録することができます。
ポイントを整理すると、
- 旧氏だけで役員の氏名を登記することはできない
- 現在の氏名とあわせて旧氏を記録できる
- 株式会社だけでなく、合同会社などの持分会社や一般社団法人・一般財団法人なども対象になる
- 役員変更などの登記申請と同時に申し出ることができる
- 登記申請をせず、旧氏の記録だけを単独で申し出ることもできる
- 原則として旧氏を証する書面が必要
- 記録した旧氏について、後から記録を希望しない旨を申し出ることもできる
旧氏を記録したいと思っても、どのタイミングで申し出るのか、どの書類を準備すればよいのかは、現在の会社・法人の登記状況によって変わります。
役員変更などの登記とあわせて手続きをするのか、旧氏の記録だけを申し出るのかを含め、まず現在の状況を整理してみるとよいでしょう。
司法書士・社会保険労務士 いしい法務事務所では、会社・法人の登記だけでなく、会社の法務や労務についても、現在の状況を整理したうえで必要な手続きを一緒に考えています。
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