海外居住者や外国人の不動産登記|特有の必要な手続きと注意点
海外にお住まいの方や外国籍の人が日本国内の不動産を所有する場合でも、不動産の登記は可能です。しかし、国内居住者かつ日本人とは異なる手続きや必要書類があります。本記事では、海外居住者や外国籍の人が所有権の登記名義人となる場合に、不動産登記を行う際に考慮すべき特有の事項や、必要書類、注意点について詳しく解説します。
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海外居住者や外国人でも不動産登記は可能
海外に居住しているまたは外国人だからといって、日本の不動産を所有できないわけではありません。現在の日本の法律は、国籍や居住地に関わらず不動産所有を認めています。したがって、海外在住者や外国籍の人でも日本の不動産を購入し、自己を所有権の名義人とする登記することが可能です。
不動産登記は、所有権を第三者に明らかにする上で非常に重要です。登記を行うことで、自身の権利を保護し、将来的なトラブルを避けることができます。ただし、海外居住者や外国籍の人の場合、国内に住所がないなどの理由により、一般的な手続きに比べその手続きは複雑になります。例えば、外国籍の人の氏名のローマ字併記やその書類の準備、国内連絡先の提供など、通常の手続きとは異なる点に注意が必要です。
海外居住者が所有権の登記名義人となる場合
概要
令和6年4月1日から、海外居住者(法人を含む)が所有権の登記名義人となる不動産登記を行う場合、原則日本国内の連絡先を法務局に提供しなければならないこととなりました。日本国内の連絡先は、自然人でも法人でも構わないこととなっています。また、日本国内の連絡先は、外国法人の日本国内の営業所でも構いません。
国内の連絡先として、住所、氏名または名称、会社法人等番号などを記載して登記申請をしなければなりません。
国内連絡先の準備と必要書類
海外居住者が所有権の登記名義人となるときの登記申請には、原則、国内連絡先の情報を提供しなければなりません。そのため、登記申請の際には、①国内連絡先事項を証する書面と②国内連絡先となる者の承諾書を添付しなければなりません。
②の国内連絡先となる者の承諾書には、その者の実印を押し、印鑑証明書を提供しなければならないこととなっています。
①の国内連絡先事項を証する書面は、個別の事案により様々ですが、一般的には国内連絡先となる者の印鑑証明書や登記事項証明書などが該当します。
外国人が所有権の登記名義人となる場合
概要
令和6年4月1日から、外国籍の人が所有権の登記名義人となるときは、氏名が、今ままでのカタカナ表記に加えてローマ字表記の氏名も併記されることとなりました(不動産登記規則158条の31)。カタカナ表記の後ろに丸括弧書きでローマ字表記がされることになります。このローマ字併記の制度は、外国法人は対象外となります。
海外に居住する外国人が所有権の登記名義人になるときは、上記の海外居住者に係る国内連絡先事項も併せて登記申請をしなければならないこととなります。
ローマ字氏名に係る必要書類
外国人が所有権の登記名義人となるときは、カタカナ表記に加えてローマ字表記の氏名も併記されることになるため、そのローマ字氏名に係る証明書類も登記申請に添付しなければなりません。
具体的には、大きく3つに分けることができ、それぞれに掲げる書類がローマ字氏名に係る証明書類となります。
- 日本に住民票がある外国人
- ローマ字氏名が記載されている住民票
- 日本に住民票はないが、旅券の所持をしている外国人
- 次の要件を満たす旅券の写しに「原本と相違がない旨の記載」及び「登記名義人となる者等の署名又は記名押印」がされているもの
- 登記申請の受付の日において有効な旅券の写しであること
- ローマ字氏名、有効期間の記載、写真の表示のあるページの写し
- 次の要件を満たす旅券の写しに「原本と相違がない旨の記載」及び「登記名義人となる者等の署名又は記名押印」がされているもの
- 日本に住民票もなく、旅券の所持もしていない外国人
- 次の要件を満たす登記名義人となる外国人が作成したその者の署名又は記名押印がされている上申書
- ローマ字氏名の記載
- そのローマ字氏名が当該者のものであることに相違ない旨の記載
- 旅券を所持していない旨の記載
- 次の要件を満たす登記名義人となる外国人が作成したその者の署名又は記名押印がされている上申書
まとめ
不動産登記の手続きは、専門的な知識や経験が必要となる場面が多く、複雑で時間がかかります。
特に海外居住者や外国籍の人の場合、通常の手続きとは異なり、さらに難しく感じることもあります。登記手続きをする際は、時間に余裕をもって手続きをしましょう。