不動産登記と旧姓(旧氏)併記|手続き、注意点を解説

不動産登記において旧姓(旧氏)の併記制度が導入され、現在の所有権の登記名義人の氏名に旧姓(旧氏)を併記することができるようになりました。本記事では、不動産登記に旧姓を併記についての基本、具体的な手続き、注意点などを詳しく解説します。

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不動産登記における旧姓(旧氏)併記の基本ポイント

旧姓併記ができる人と申出のタイミング

不動産登記に旧姓を併記できるのは、日本の国籍をもち現在「所有権の登記名義人」となっている人が対象です。抵当権者など所有権以外の名義人には旧姓併記制度は適用されません。

旧姓は、登記簿の氏名の後にフルネームで、丸括弧書きにより記載されます。旧姓は、直前の旧姓に限らず、過去に称していた旧姓であれば併記することができます。しかし、併記できる旧姓は、一つに限られます。登録済みの旧姓がある場合は、さらに新たな旧姓として選べるのは、その後に称した氏名に限られます。

併記された旧姓は、所有権の登記名義人の氏名を補足する事項と位置付けられています。

不動産の「所有権移転登記」や「保存登記」など、新たに名義人となる際、旧姓を併記したい場合は、登記申請と同時に旧姓併記の申し出ができます。また、すでに所有権の登記名義人である方でも、後から旧姓併記の申し出をすることが可能です。

旧姓併記の取りやめ

一度旧姓が登記簿に併記された場合でも、申し出により旧姓併記を取り止めることができます。これは旧姓が本来、氏名を補足する情報にすぎないという趣旨によるものです。

旧姓併記を終了したい場合、特別な添付書類は不要です。手続きも簡単なので、事情が変わった時には速やかに取り下げの申し出が行えます。

不動産登記における旧姓併記の具体的な手続き

前述したとおり、旧姓併記の申出のパターンは2つの方法があります。

登記申請と同時に旧姓併記を申し出る場合

所有権移転登記や氏の変更を伴う登記申請時に、現在の氏名の後ろに丸括弧で旧姓(フルネーム)を記載します。この際、通常の必要書類に加えて、「旧姓が記載された戸籍謄本または抄本」などの証明書を提出する必要があります。

旧姓併記のみを申し出る場合

すでに所有権の名義人となっている方が、新たに旧姓併記を希望する場合は、旧姓併記のみの申出を行います。手続きは同様で、氏名の後ろに旧姓を丸括弧書きで記載し、戸籍謄本等を添付して申請します。

まとめ

不動産登記における旧姓併記は、現在の氏名に補足情報として旧姓を登録できる制度です。希望される場合は、戸籍謄本などの証明書類の準備や、登記書類への正確な記入が必要不可欠です。

ただし、不動産登記では、旧姓だけでの登記はできません。旧姓併記はあくまで「現在の氏名を補足する形」として記載されるものであり、登記の基本は現在の氏名です。必ず申請書には現在の氏名を正確に記入し、そのうえで旧姓を丸括弧書きで追加してください。

当事務所は、不動産登記の旧姓併記やその他のご相談について登記の専門家としてお受けしております。お気軽にご相談ください。