不動産の共有名義に潜むリスク

不動産の共有名義

不動産を共有名義にすることは一定のメリットがある一方、実際には多くの問題点やリスクが存在します。本記事では、不動産の共有名義に関する問題点とその解決方法について詳しく解説します。

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不動産の共有名義とは

共有名義の基本知識

不動産の共有名義とは、1つの不動産を複数人で所有する状態を指します。
複数の人が共同で所有する不動産を、一般的に共有不動産(共有名義不動産)といいます。

共有不動産(共有名義不動産)が発生する背景

共有不動産は、様々な理由で発生します。
代表的な例としては、以下のようなケースが挙げられます。

  • 夫婦で住宅を購入する場合:
    夫婦で住宅を購入する際に、どちらか一方の名義で所有するよりも、両方の名義で所有することで、住宅ローン控除の適用範囲が広がったり、相続税の節税効果が期待できる場合があります
  • 相続により不動産を共有する場合:
    相続が発生し、相続人間で不動産を共有名義にすることとなった場合

共有名義のメリット

住宅ローン控除の活用

共有名義にすることで、住宅ローン控除の適用範囲を広げることができます。

住宅ローン控除は、住宅の購入やリフォームに要した資金に対して、一定の金額を所得税から控除できる制度ですが、共有名義の場合、それぞれの共有者が個別に住宅ローン控除の対象となるため、単独名義よりも控除額が大きくなる可能性があります。

例えば、夫婦で住宅を購入する場合、夫婦それぞれが住宅ローン控除の対象となるため、借入金額によっては、単独名義で所有する場合よりも、控除額が2倍になる可能性があります。 ただし、住宅ローン控除の適用には、所得要件や居住要件などの一定の条件があり、共有名義で住宅を購入する場合でも、これらの条件を満たす必要があります。

高額な住宅ローンが組める

住宅ローンは、金融機関から借り入れた資金で住宅を購入する際に利用するローンのことを言いますが、共有名義にすることで、高額の住宅ローンが組める場合があります。

共有名義の場合、それぞれの共有者の収入を考慮して、住宅ローンの審査が行われるため、単独名義で所有する場合よりも、高額の住宅ローンが組める可能性が高くなります。  

共有名義のデメリット

売却が難しい

共有名義の不動産を売却する場合、共有者全員の同意が必要となります。
そのため、共有者の一人が売却に反対した場合、その不動産全体を売却することができません。

また、売却することについて共有者全員の同意を得たとしても、共有者それぞれが、自分の持分に対して異なる価値観を持っているため、売却価格について合意を得ることが難しいことがあります。その結果、売却手続きがスムーズに行うことができなくなってしまいます。

離婚時の財産分与の複雑化

不動産が夫婦の共有名義となっている場合、その共有名義の不動産は、離婚時に財産分与の対象となります。

共有者のどちらかが、不動産の自分の持分を放棄したいと考えているけれども、財産分与の金額について合意を得ることが難しい場合、共有名義の不動産は、離婚時に複雑な問題を引き起こすことがあります。

相続によるの管理処分の困難化

不動産の共有持分を所有している者が亡くなった場合は、その共有者について相続が発生します。
その不動産の共有持分は相続財産となり、当初に想定していない人が不動産の所有者になることがあります。

また、その持分についてさらに複数の相続人による共有状態となれば、権利関係が複雑化または希薄化し、不動産の管理処分が困難になってしまいます。

相続登記を放置することのリスクについてはこちらをご覧ください

共有名義の解消方法

不動産全体を売却する

共有名義の不動産を解消する方法の一つは、不動産全体を売却することです。
売却する場合、共有者全員の同意が必要ですので、共有者全員の話し合いにより売却先、売却価額を決めることになります。

持分の売却

共有名義の不動産を解消する別の方法は、持分を他の共有者に売買して単独名義にすることです。

売買価格については、売主である共有者と買主で共有者との間で合意する必要がありますが、他に共有者がいるときでも、その売買の当事者にならない共有者の同意を得る必要はありません。

持分を売却する場合、売却相手は、法律上は共有者以外の第三者でも構わないことになっていますが、一般的に価格が慎重に判断する必要があるでしょう。

まとめ

不動産の共有名義は、住宅ローン控除の活用など、メリットがある一方で、売却が難しい、離婚時の財産分与が複雑化する、相続によるの管理処分の困難化が発生する可能性があるなど、デメリットもあります。
不動産を共有名義にする場合は、リスクもあることを知っておきましょう。
当事務所は、不動産に関するご相談を承っています。お悩み事、ご不明点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。