役員報酬と社会保険の関係|決め方・変更時に確認したいポイント

役員報酬をいくらにするかは、会社を経営していくうえで避けて通れない問題です。

「会社に利益を残したいから、役員報酬を下げた方がいい?」
「役員報酬を変更したら、社会保険料も変わる?」
「今期から報酬を変えたいけれど、いつ変更すればいい?」
「そもそも、役員報酬は誰がどうやって決めるの?」

役員報酬は、会社の利益だけを見て決めればよいものではありません。
会社法上の決定方法、税務、社会保険、役員個人の生活など、いくつかの点を一緒に考える必要があります。

ここでは、役員報酬を決めるとき・変更するときに、会社が確認しておきたいポイントを整理します。

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役員報酬とは?

役員報酬とは、取締役や監査役などの役員が、会社から職務の対価として受け取る報酬です。
従業員に支払う給与とは、会社との関係や決定方法が異なります。

そのため、役員報酬を変更するときも、従業員の給与を変更する場合と同じように考えることはできません。

特に確認しておきたいのが、

  • 会社法上、どのように報酬を決めるのか
  • 税務上、どのような扱いになるのか
  • 社会保険料にどのような影響があるのか

という3つの点です。

→「取締役とは?会社での役割・権限・責任を分かりやすく解説」

役員報酬は誰が決める?

株式会社では、取締役の報酬について定款に定めがない場合、原則として株主総会の決議によって定めます。

そのため、
「社長だから自分で自由に決められる」
というものではありません。

実際には、株主総会で役員報酬の総額を決め、その範囲内で取締役会などが個々の取締役の報酬を決める形がとられることもあります。
会社の機関設計や定款、これまでの株主総会決議などによって確認する内容が変わるため、報酬を変更する前に、まず会社のルールを確認することが大切です。

→ 「株主総会のスケジュール|開催前に確認したいことと準備の流れを解説」

役員報酬を変更するときに確認したいこと

役員報酬を変更する場合は、少なくとも次の点を確認しておきましょう。

  • 現在の役員報酬がどのように決められているか
  • 定款に報酬についての定めがあるか
  • 株主総会でどのような決議をしているか
  • 今回の変更について、どのような決議が必要か
  • 変更後の報酬額はいくらか
  • 社会保険料がどの程度変わるか
  • 税務上の問題がないか

「金額を変更する」という一つのことでも、会社法・税務・社会保険をそれぞれ確認する必要があります。

役員報酬を変更すると社会保険料も変わる?

役員報酬は、社会保険料にも関係します。
健康保険・厚生年金保険では、毎月の報酬そのものではなく、「標準報酬月額」をもとに保険料が計算されます。

そのため、役員報酬が変わったからといって、必ず翌月から社会保険料が同じように変わるわけではありません。

一定の要件を満たした場合には「随時改定」が行われ、変更後の報酬を受けた月から一定期間を経て、標準報酬月額が改定されます。
また、毎年行われる「定時決定」では、4月・5月・6月に支払われた報酬をもとに、その年9月から翌年8月までの標準報酬月額が決まります。

つまり、
「役員報酬を変えたら、社会保険料はいつ変わるのか?」
という問題は、変更した時期や変更内容によって確認する必要があります。

役員報酬を下げれば、社会保険料も下がる?

一般的には、標準報酬月額が下がれば、社会保険料も下がる方向になります。

ただし、
「社会保険料を下げたいから、役員報酬をできるだけ低くする」
という考え方だけで決めるのはおすすめできません。

役員報酬は、

  • 会社にどの程度のお金を残したいか
  • 役員個人の生活にどの程度必要か
  • 社会保険料がどの程度になるか
  • 税務上どのような扱いになるか
  • 今後の会社の業績をどう見込んでいるか

などを合わせて考える必要があります。

会社にとっての負担と、役員個人にとっての負担・保障の両方を見ることが大切です。

役員報酬を変更するときは「会社の手続き」も確認する

役員報酬の変更では、金額だけを決めて終わりではありません。

たとえば、
「今期から社長の報酬を変更しよう」
と決めた場合でも、

  1. 現在の報酬の決定方法を確認する
  2. 変更の時期を確認する
  3. 必要な株主総会等の決議を行う
  4. 議事録を作成する
  5. 給与計算に反映する
  6. 社会保険への影響を確認する
  7. 必要な届出があれば行う

というように、いくつかの作業があります。

特に、役員報酬の変更と同時に役員の交代や役職変更なども行う場合は、会社の登記や社会保険の手続きまで含めて確認した方がよいケースがあります。

会社の変更を一つずつ別々に考えるのではなく、「今回、会社全体で何が変わるのか」から整理することが重要です。

→「株主総会議事録の記載事項とは?作成時に確認したいポイントと備え置き義務を解説」

「役員報酬を変えたい」だけでも、確認することは意外と多い

役員報酬について相談を受けるとき、
「報酬をいくらにすればいいですか?」
という質問だけで終わることはあまりありません。

実際には、
「今期から変更して大丈夫?」
「株主総会は必要?」
「社会保険料はどうなる?」
「役員を交代する予定だけど、一緒に何か手続きが必要?」
「従業員の給与も変更するけれど、何か注意することはある?」
というように、会社の他の問題とつながっていることがあります。

だからこそ、手続きを一つ決める前に、まず現在の状況を整理しておくことが大切です。

役員報酬の変更で迷ったら、まず「何を変えるのか」を整理する

役員報酬は、会社の経営と役員個人の生活の両方に関わります。

そのため、
「社会保険料を下げたい」
「会社に利益を残したい」
という一つの目的だけで決めるのではなく、
会社として何を変えたいのか、そのためにどの手続きが必要なのかを整理して考えることをおすすめします。

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まとめ

役員報酬を決めるときには、金額だけでなく、

  • 会社法上の決定方法
  • 税務上の取り扱い
  • 社会保険料への影響
  • 変更後に必要となる手続き

まで確認することが大切です。

特に、役員報酬の変更と役員変更、会社の決算、従業員の給与変更などが重なる場合には、個別の手続きだけを見ると見落としが生じることがあります。
会社で何かを変更するときこそ、まず全体を整理してから動く。
それが、後から「別の手続きも必要だった」とならないためのポイントです。