役員報酬と社会保険の関係

役員報酬と社会保険の関係

役員報酬は会社の健全な運営と役員の社会保険料に大きな影響を与えるます。
それゆえ、役員報酬の額の設定と社会保険との関係は、企業運営において極めて重要な要素となります。
この記事では、役員報酬における社会保険について詳しく解説します。

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役員報酬の基本と社会保険加入要件

役員報酬

役員報酬とは、会社の取締役や監査役に対して支払われる報酬のことです。
会社と取締役や監査役などの役員は委任関係にあります。
役員報酬は委任契約に基づく報酬となりますので、従業員への給与やボーナスとは異なる形で計算、支給されることが一般的です。
取締役や監査役は会社の経営を担う重要な役割を担っているため、会社の業績や経営状況、役員の職務内容などを総合的に考慮して役員報酬の額を決定します。

役員報酬と社会保険の関係

取締役や監査役などの役員は、原則、社会保険に加入する義務があります。 
社会保険に加入することで、役員は従業員と同様に社会保障制度の恩恵を受けることができます。

ただし、役員であっても、非常勤役員に該当すれば、社会保険の加入対象者とはなりません。
非常勤役員に該当するかは、定期に勤務しているなどの常勤役員と同様な働き方をしているかどうかなど、実質的かつ総合的に個別に判断することとなります。
この場合、非常勤役員は国民年金や市区町村の国民健康保険に加入することになります。

役員報酬を適正に設定する必要性

役員報酬の額を適正に設定することは、企業の健全性を保ち、税負担を軽減することにもなるため非常に重要です。

役員報酬の額が高すぎる場合は、所得税の負担が増加し、企業の利益が減少する可能性があります。
それに対して、従業員の給与を充実し、反対に役員報酬の額が低すぎる場合は、知らず知らずのうちに役員のモチベーションが低下し、企業の経営に良い影響を及ぼさないこともあります。

そのため、役員報酬は、会社の業績や経営状況、役員の貢献度などを考慮して、適正な水準に設定することが重要です。

役員報酬の額の決め方

役員報酬の額を決めるにあたり、その決め方については、会社法で規定されており、会社の定款または株主総会で決めることとされています。

株主総会で役員報酬の額を決める場合は、株主総会で各役員毎に役員報酬の額を決めることもできますし、株主総会で決定された総額の範囲内で、各役員の個別の報酬の額を取締役会(取締役会がなければ取締役の過半数の一致)で決定することもできます。

ただし、いつでも変更できるものではありません。
役員報酬を変更できる時期は、期首(事業年度の開始日)から3ヶ月以内となります。

なお、法人税の申告は、決算の確定をしてからでないと申告できません。
決算の確定は、定時株主総会で「計算書類および事業報告の承認」を受けることにより確定します。
一般的には、期末(事業年度の終了日)から2ヶ月以内に法人税の確定申告をすることが多いですので、「決算の確定に必要な計算書類および事業報告の承認」と「役員報酬の額の決定」を定時株主総会で決定することが多いです。
もちろん、期首(事業年度の開始日)から3ヶ月以内であれば、定時株主総会でなくても臨時株主総会を開催し、そこで決定することもできます。

役員報酬の額と社会保険への影響

役員報酬が低い場合は、社会保険料の負担が軽減されることになります。
社会保険料は、報酬額に基づいて算定されるため、報酬額が低ければ、それだけ社会保険料も低くなります。

しかし、役員報酬が低いと、社会保険により受けられる傷病手当金や出産手当金、将来の年金の受給額も減少します。例えば、健康保険の場合、報酬額が低ければ、業務外の原因により病気や怪我をした際に受けられる金額が少なくなります。

そのため、役員報酬を低く設定する場合は、社会保険料の負担と社会保障の受給額のバランスも考慮しましょう。

ここで注意が必要なのが、対象が私傷病等であるため業務外の傷病であることです。
従業員(労働者)であれば、業務上の傷病等は労災保険、業務外の私傷病等については健康保険により給付が受けられます。

しかし、役員は労働者ではないため、労災保険の対象ではありません。
ですので、一定の例外はありますが、役員の業務上の傷病は、社会保険(健康保険)により給付を受けることができません。

経営者が業務上の傷病等により必ず何かしらの保障を受けたい場合は、労災保険の例外規定である特別加入制度を利用するか、民間の保険などに加入するなどの対策をする必要があります。

まとめ

役員報酬の設定と社会保険の加入は、企業運営において極めて重要な要素です。
適切な報酬設定により、会社と経営者個人の健全な運営を図ることができます。
社会保険の手続きや会社運営を含め、わからないことがありましたらお気軽にご連絡ください。