一般社団法人の解散と清算結了手続き
一般社団法人の解散から清算結了までの手続きは、頻繁にあるものではないため慣れないものです。
この記事では、社員総会の決議等から法務局への登記申請、債権者保護手続きまでの流れをわかりやすく解説します。ス
ムーズな解散と清算結了の手続きのために、ぜひ参考にしてください。
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解散事由と清算人
一般社団法人の解散事由
一般社団法人は、次に掲げる事由によって解散することとなっています(法人法148条、149条)。
① 定款で定めた存続期間の満了
② 定款で定めた解散の事由の発生
③ 社員総会の決議
④ 社員が欠けたこと
⑤ 合併(合併により当該一般社団法人が消滅する場合に限る。)
⑥ 破産手続開始の決定
⑦ 解散を命ずる裁判
⑧ みなし解散
③の社員総会の決議は、総社員の半数以上であって、総社員の議決権の3分の2(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければなりません(法人法49条2項6号)。
社員は、定款で別段の定めがあるときを除き、各一個の議決権を有します(法人法48条)。
清算人の役割と選任方法
一般社団法人が解散すると、清算人を置かなければなりません(法人法208条)。
清算人は、解散した一般社団法人の現務の結了、債権の取立て及び債務の弁済、残余財産の引渡しを行います(法人法212条)。
清算人の数は、1人以上いればいいこととなっていますが、清算人会を置く法人は、清算人は3人以上でなければなりません(法人法209条5項、65条3項)。
また、定款の定めにより、清算人会又は監事を置くことができます(法人法208条2項)。
解散の時に、大規模一般社団法人であったときは、監事を置かなければなりません(法人法208条3項)。
定款で定める清算人または社員総会の決議により選任された清算人がいないときは、解散のときにおける理事が清算人となります(法人法209条)。
代表清算人の選任
代表清算人については、清算人会を設置するか否かで考え方た変わります。
清算人会を置かない一般社団法人
清算人は、原則、各自が代表清算人となります(法人法214条1項、2項)。
ただし、①定款または②定款の定めに基づく清算人の互選、③社員総会の決議によって、清算人の中から代表清算人を定めることができます(法人法214条3項)。
なお、定款で定める清算人または社員総会の決議により選任された清算人がいないときに、解散のときにおける理事が清算人となる場合において、代表理事を定めていたときは、その代表理事が代表清算人となります(法人法214条4項)。
清算人会を置く一般社団法人
清算人会を置く一般社団法人は、清算人会で代表清算人の選定をします(法人法220条2項3号)。
また、清算人会を置く一般社団法人においても、解散のときにおける理事が清算人となる場合において、代表理事を定めていたときは、その代表理事が代表清算人となります(法人法214条4項)。
解散と清算人の登記と印鑑届書
解散、清算人や代表清算人等の就任の登記申請は、当該事由が発生した日から2週間以内に登記の申請をしなければなりません。
解散の登記と清算人等の就任の登記申請は、一時にすることは要求されていませんが、一時にすることが一般的です。
代表清算人も印鑑の登録をすることができます。解散前の代表理事が代表清算人になる場合で、印鑑の変更がないときでも、会社の印鑑の登録が必要です。登録するときは忘れずに登録しましょう。
債権者保護手続きと清算結了
官報公告と各別の催告の実施
解散したときは、債権者に対し、一定の期間内にその債権を申し出るべき旨を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければなりません。
この期間は、2か月を下ることができないとされています(法人法233条1項)。
清算結了の登記
清算事務が終了したときは、清算事務に関する決算報告を作成し、社員総会の承認(清算人会設置会社にあっては当該清算人会設置会社の承認も)を受けなければなりません(法人法240条)。
社員総会の清算結了の承認の後、その承認の日から2週間以内に法務局へ清算結了の登記申請を行います。
会社の印鑑証明書は、清算事務が終了した後の清算結了の登記がされた後では、取得できなくなります。
まとめ
一般社団法人の解散から清算結了までの登記手続きについて解説しました。
債権者保護手続きの他に税務申告も当然必要になります。
税金の専門家にも相談しながら、手続きをすすめていただければより安心です。
解散や清算手続きで、ご質問などございましたらお気軽にご連絡ください。