新株予約権とは?種類・発行・権利行使について
新株予約権は、株式会社に対して行使することにより当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利のことをいいます(会2条21号)。この記事では、新株予約権の種類、発行、権利行使までを解説します。
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新株予約権の基本と種類
新株予約権とは?その定義と仕組み
新株予約権は、新株予約権の権利者が、あらかじめ定められた期間内に、あらかじめ定められた価額を株式会社に払い込みをし、会社から一定数の株式の交付を受けることができる権利です。新株予約権者が権利を行使するかは任意となります。
新株予約権者が、払い込みをすると株式の交付を受けるので、当然株主になります。
したがって、新株予約権の目的である株式の価額が上がれが新株予約権者は利益を得ることになります。
新株予約権の種類:ストックオプションとその他のタイプ
新株予約権は、その目的や対象者によって様々な種類が存在します。
一つは、ストックオプションです。これは、企業の役員や従業員に対して、業績向上へのインセンティブとして付与されるものとなります。
二つ目は、資金調達を目的とした新株予約権も存在します。これは、投資家に対して発行され、将来の株式取得の権利を付与することで、企業は新たな資金を調達することができます。
他には、新株予約権付社債があります。新株予約権付社債は、株式会社が発行する社債に新株予約権が付されたものとなります。新株予約権付社債は、その性質上、社債と新株予約権とを分離して譲渡などの処分をすることができません。
新株予約権の発行と行使
新株予約権の発行手続き
新株予約権は、その内容として、新株予約権の目的である株式の数や新株予約権の権利行使に際して出資される財産の価額、行使期間などの法定事項を定めなければなりません(会236条1項)。
新株予約権の発行の手続きは、募集株式の発行手続きとほぼ同じです。株式会社が有する自己新株予約権の処分は、自己株式の処分と異なり募集手続きにより行う必要はありません。また、株式会社は、自己新株予約権の行使をすることはできません(会280条6項)。
第三者割当を行う場合は、公開会社(その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社のこと(会2条5号))と公開会社でない会社により手続きが異なります。
有利発行であるときを除き、公開会社の場合は取締役会で、公開会社でない会社の場合は株主総会(株主総会の取締役又は取締役会設置会社では取締役会への委任可)で募集事項を定めなければなりません(会240条1項、238条2項)。
株主割当てをするときは、公開会社では取締役会の決議で、公開会社でない会社では株主総会(定款で定めがあれば取締役又は取締役会設置会社では取締役会)で決定します(会241条3項)。
募集新株予約権の目的である株式の全部又は一部が譲渡制限株式である場合及び募集新株予約権が譲渡制限新株予約権である場合には、割当先の決定は、定款で別段の定めがあるときを除き、株主総会(取締役会設置会社では取締役会)で決定しなければなりません(会243条2項、244条3項)。
新株予約権を発行したときは、本店の所在地で登記をしなければなりません。
新株予約権の行使
新株予約権の権利行使とは、新株予約権の保有者が、あらかじめ定められた価格(行使価額)で、発行会社の株式を取得する行為です。権利を行使することで、新株予約権は消滅し、新株予約権の権利を行使した者は株主となります。
新株予約権を行使する者は、その行使に係る新株予約権の内容及び数、新株予約権を行使する日を明らかにし(会280条1項)、金銭を出資の目的としたときは、行使日に株式会社が定めた払い込みの場所において、全額を払い込まなければなりません(会281条1項)。
金銭以外の財産を新株予約権の行使に際してする出資の目的とするときは、行使日にその財産の給付をします。この場合に、その財産の価額が出資される財産の価額として定められた額に足りないときは、差額に相当する金銭を払い込まなければなりません(会381条3項)。
なお、新株予約権の行使に際して金銭以外の財産を出資の目的とした場合、一定の要件に該当すると、その財産の価額を調査させるため、検査役による調査手続きが必要になります(会284条)。
新株予約権を行使した新株予約権者は、当該新株予約権を行使した日に、当該新株予約権の目的である株式の株主となります(会282条1項)。
まとめ
新株予約権を発行することで、新たな資金を調達することができます。
また、ストックオプションとして新株予約権を従業員に付与することで、従業員のモチベーションを高め、企業価値の向上に繋げることができます。
しかし、新株予約権の発行には、デメリットも存在します。新株予約権が行使された場合、発行済株式数が増加し、既存の株主の株式価値が希薄化する可能性があります。また、新株予約権の管理も必要になります。
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