株主総会スケジュールガイド:スムーズな準備と開催のポイント

株主総会は、会社法に則り、適切な時期と手順で開催しなければなりません。
株主総会の招集は一定の要件に該当すれば株主からでも請求できますが、会社側から招集することが一般的です。本記事では、会社側から招集する株主総会のスケジュール策定のポイントや、スムーズな準備と開催のための手順を解説します。

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株主総会の開催時期と会社法のルール

株主総会における決議事項

株主総会は、株式会社に必ず設置しなければいけない機関として定められています。

取締役会を設置しない会社では、株主総会は、会社法に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をします(会295条)。取締役会設置会社では、会社法に規定する事項及び定款で定めた事項に限定されています。(会295条2項)。

基準日

株主総会と基準日との関係ですが、株主総会で議決権を行使することができる株主は、原則、株主総会の開催時に株主名簿に記載又は記録された株主となります。しかし、上場会社のように株が頻繁に売買されるときは、開催時点の株主を把握することは困難です。このような場合に、株主総会から3か月以内前のある一定の日(基準日)を定めて、その基準日において株主名簿に記載又は記録されている株主を議決権を行使することができる者と定めることができる制度があります(会124条)。

基準日を定めるときは、行使することができる権利の内容を定めなければなりません(会124条2項)。基準日と行使することができる権利の内容は定款でも定めることができますが、定款で定めなかったときは取締役会で定め、さらに基準日の2週間前までにその旨を公告しなければなりません(会124条3項)。

定時株主総会と臨時株主総会の違い

株主総会には、定時株主総会と臨時株主総会の2種類があります。

定時株主総会は、毎事業年度終了後に開催されるもので、計算書類の承認、事業報告などを行います。定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならないとされています(会296条)。

会社は、事業年度終了後2ヶ月以内に法人税の申告を行う必要があります。この申告までに定時株主総会で計算書類の承認をする必要があるため、これらを考慮しなければなりません。中小企業の場合は、法人税の法定申告期限内の事業年度終了後2ヶ月以内に開催することが一般的です。

臨時株主総会は、会社法で定められた事項や、会社の経営判断によって必要となった場合に開催されます。例えば、役員の追加、定款の変更、合併などが挙げられます。これらの議題は、会社の重要な意思決定に関わるものであり、株主の承認を得る必要があります。

株主総会開催のステップ

STEP1:会社の機関設計と定款の把握

自社の機関設計(取締役会、監査役など)を正確に把握し、それに応じた必要な手続きを確認します。機関設計によって、株主総会での決議事項や手続きが異なります。

まずは、会社の機関設計がどうなっているか、そして基準日などの定めが定款にあるか否か、決議事項が株主総会で決議されるものであるかどうかの法令の確認をしなければなりません。

STEP2:全体スケジュールの把握と株主総会開催日の決定

会社法で定められた期限や、株主や取締役などの関係者のスケジュールなどを考慮して、株主総会の開催日を決定します。

株主総会は、取締役会(なければ取締役)で、
①株主総会の日時及び場所
②株主総会の目的である事項があるときはその事項
③株主総会に出席しない株主が書面又は電磁的方法によって議決権を行使することができることとするときはその旨
などを定め、招集します(会296条3項、298条、)。

基準日の公告や株主への招集通知、株主総会参考書類等の電子提供をする(定款の定めが必要。会325条の2)には一定の期間が必要になるので、それを考慮して開催日を決めましょう。

STEP3:招集通知の発送

株主総会の開催日の2週間前(公開会社でない会社については原則1週間前)までに、株主に対して招集通知を発送する必要があります(会300条)。ただし、株主全員の同意があるとき(株主総会に出席しない株主が書面又は電磁的方法によって議決権を行使することができるときを除く)は、招集の手続を経ることなく開催することができます(会300条)。

招集通知の方法は、取締役会設置会社や株主総会に出席しない株主が書面又は電磁的方法によって議決権を行使することができる旨を定めた場合は書面(株主の承諾を得た場合は電磁的方法)で通知しなければなりません。取締役会を設置していない会社の場合は、書面や電磁的方法で議決権を行使することができる旨を定めないときは、口頭や電話でもよいこととなります。

招集通知には、取締役会(なければ取締役)で決定した、開催日時、場所、目的などを記載します。

STEP4:株主総会の開催と議事録の作成

株主総会当日は、定款に定めがなければ議長を選任し、議案について審議を行います。議長は、通常、代表取締役社長が務めることが多いですが、状況に応じて他の取締役が務めることもあります。議長は、株主総会の秩序を維持し、議事を整理します(会315条1項)。他に、命令に従わない者その他株主総会の秩序を乱す者を退場させる権限を有しています(会315条2項)。

株主総会を開催したら、株主総会議事録を作成しなければなりません(会318条)。株主総会の議事録は、株主総会の開催状況や決議内容を証明する重要な書類です。

株主総会議事録についてはコチラ
株主総会の書面決議についてはコチラ

まとめ

株主総会のスケジュール策定は、会社法に則り、適切な時期に開催するために非常に重要です。

本記事では大まかに株主総会のスケジュールに関するポイントや手順について解説しました。解説したこと以外にも例外事項はありますが、本記事がスムーズな株主総会の準備と開催に役立てれば幸いです。

株主総会の開催についてご不明点等があればお気軽にご連絡ください。