株主名簿管理人ガイド|役割・指定方法・変更・登記・選び方のポイント総まとめ
株式会社は、株主名簿を作成しなければなりません。株主名簿管理人は、株式会社に代わって株主名簿の作成及び備置きその他の株主名簿に関する事務を行います。本記事では、株主名簿管理人の役割、設置・変更・廃止の手続きについて、わかりやすく解説します。
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目次
株主名簿管理人とは?役割と意義
株主名簿管理人の役割とは
株主名簿管理人は、株式会社に代わり、株主名簿や新株予約権原簿(新株予約権を発行している場合)など、株主情報の作成・保管・管理業務を担当する重要な存在です(会123条、251条)。
株主名簿の適切な管理は、株主の権利を守り、会社の円滑な運営にとって必要不可欠です。不適切な管理は株主トラブルや会社の信用問題に直結する恐れがあるため、株主名簿管理人には高い信頼性と知識が求められます。ただし、法律上、資格要件は特に定められていません。
上場企業の場合は主に信託銀行や証券会社などの金融機関が担当しますが、非上場企業においては、司法書士などの専門家に業務を委託するケースもあります。
株主名簿管理人設置のメリット
株主名簿管理人に業務を任せることで、会社側は専門的な知見・経験を活用でき、事務の負担を大幅に軽減できます。外部の専門家に任せることで、会社は本業に専念でき、書類作成や法務対応など煩雑な手続きからも解放されます。
特に、司法書士などの資格者に委託すれば、法令遵守やリスク管理の面でも安心です。適切な管理はトラブルの防止・コンプライアンス強化にも直結します。
株主名簿管理人の設置方法と手続き
設置のための手続き
株主名簿管理人を設置するには、定款でその旨を定めなければなりません(会123条)。
定款の変更は、株主総会の特別決議(原則、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の多数)が必要です(会466条、309条2項)。
次に、定款の定めを踏まえて取締役会(取締役会がなければ取締役の過半数決定)で株主名簿管理人を選任します。さらに、選任後は株主名簿管理人と契約書を取り交わしましょう。
登記手続きと添付書類
株主名簿管理人を設置した場合、その情報は登記事項となります。株主名簿管理人との契約締結日から2週間以内に登記しなければなりません。法務局に支払う登録免許税は、3万円になります。
登記申請時に必要な主な書類は以下の通りです。
- 定款
- 取締役会議事録(または取締役の過半数の一致を証する書面)
- 株主名簿管理人との契約書
株主名簿管理人の廃止・変更手続きの流れ
株主名簿管理人を廃止する場合
株主名簿管理人の設置をやめる際には、まず「定款変更」の手続きを行う必要があります。
定款の変更をする場合は、株主名簿管理人の設置を廃止する旨の株主総会の特別決議(原則、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の多数)が必要です(会466条、309条2項)
あわせて、現在契約している株主名簿管理人との契約を終了させる場合は、取締役会(または取締役の過半数)の決定で契約解除を決議し、実際に契約の解約手続きをすすめます。
株主名簿管理人を変更する場合
株主名簿管理人を変更する場合は、まず前任の管理人との契約の解除、次に新たな管理人の決定と契約締結が必要です。
取締役会(または取締役の過半数)で前任者の解約と後任者の選任を議決した後、それぞれと契約の解除および新規契約手続きを進めます。
登記手続きと必要書類
株主名簿管理人の廃止や変更があった場合も、2週間以内に法務局で登記申請が必要です。
登録免許税は設置時と同じく3万円となります。
- 登記申請時の添付書類(変更の場合)
定款、取締役会議事録(または取締役の過半数の一致を証する書面)、新旧株主名簿管理人との契約書 - 株主名簿管理人を定款変更で廃止した場合
株主総会議事録(定款変更決議の内容が明記されたもの)、株主リスト - 会社による契約解除で廃止した場合
取締役会議事録(または取締役の過半数一致を証する書面)
申請期限はいずれのケースも、契約(または決議)日から2週間となっていますので、ご注意ください。
まとめ
株式会社は必ず株主名簿を作成・管理しなければなりません(会121条)。
株主名簿管理人の設置・変更・廃止においては、適切な法的手続きと登記が不可欠です。
当事務所では、会社運営や株主名簿管理についてもご相談を承っておりますので、お気軽にご連絡ください。