不動産登記における相続関係説明図ガイド|法定相続情報との違い

相続が発生した際、不動産の名義変更をするときには相続関係説明図を作成し、申請書に添付します。この記事では、相続関係説明図の基本、作成に必要な書類、法定相続情報一覧図との違いについて解説します。

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相続関係説明図とは?

相続関係説明図の基本

相続手続きにおいて、相続関係を証明する書類は不可欠です。法定相続情報と相続関係説明図は、一見すると同じものと感じますが、それぞれ異なる特徴を持っています。

相続関係説明図も法定相続情報も、被相続人(亡くなった方)と相続人の関係を図式化したものです。しかし、相続関係説明図は、被相続人の不動産につき、誰が相続人で、誰が不動産の取得者であるかをわかりやすく表現したものになります。そのため、相続関係説明図は不動産の名義変更(相続登記)のときに作成し、登記申請の際に添付します。

不動産の名義変更をするときには、相続を証明する書面として戸籍謄抄本を添付します。これらの戸籍謄抄本の原本は、そのコピーを添付することで相続登記が完了した後返却してもらうことできます。相続関係説明図があれば、返却のための戸籍謄抄本のコピーの添付が不要になります。

しかし、相続関係説明図は、戸籍謄抄本の代わりとなりますが、住所を証明する書面である住民票(戸籍の附票)の代わりとはなりません。そのため、住民票の原本の還付をしてもらうときは、住民票のコピーの添付が必要となります。

法定相続情報一覧図との違い

不動産の名義変更(相続登記)や預金の解約などの相続手続きを行う際には、相続関係を証明する書類を法務局や金融機関から提出を求められます。相続関係を証する書類は、戸籍関係書類となります。

法定相続情報の制度とは、相続人のうち一人(代理人でも可)から相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)とともに、戸籍謄本等を登記所に提出し、登記官が一覧図の内容が民法に定められた相続関係と合致していることを確認したうえで、その一覧図に認証文を付した写しを無料で交付するというものです。
出典:法務局ホームページ(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000013.html)を編集

法定相続情報一覧図(の写し)は、法務局が戸籍謄本等を確認した後に発行されるため、現在は多くの金融機関や行政機関での手続きに共通して相続関係を証明する書類として利用することができます。もちろん、先に法定相続情報を作成しておくことで、不動産の名義変更(相続登記)にも利用できます。

法定相続情報は、被相続人の法定相続人が記載されたものになるため、法定相続情報に記載する事項は、被相続人とその法定相続人に限られます。数次相続が発生している場合は、一次相続と二次相続を1つの法定相続情報として記載することができません。この場合は、2つの法定相続情報を作成する必要があります。

法定相続情報一覧図の取得方法と注意点についての記事はこちら

相続関係説明図の作成方法|必要な書類と情報

相続関係説明図を作成するには、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、最後の住所、相続人全員の戸籍謄本、住民票、相続不動産の情報などが必要です。これらの書類から、相続人の情報や続柄を正確に把握します。

インターネット上には、たくさんの方が相続関係説明図の詳しい書き方やダウンロードができるひな形をアップされているので、ご自身に合ったひな形をダウンロードして作成してもいいでしょう。

相続関係説明図も法定相続情報も、相続人の住所の記載は任意となります。

相続関係説明図は、不動産の相続登記を申請する際に添付する書面です。書類に不備があると、補正の対象となるため、その点を考慮して記載するかどうか決めましょう。

一方、法定相続情報は、金融機関や相続税の申告などの相続手続きをする際にひろく利用されることが認められています。法定相続情報に記載されているものは、その証明として書類の添付が不要となることが一般的なため、法定相続情報には、相続人の住所も記載しておくとその後の手続きが簡単になります。

まとめ

相続関係説明図は、不動産の名義変更(相続登記)をするときに作成します。必要に応じて司法書士や弁護士のサポートを受けながら、適切な相続手続きを行いましょう。

相続手続きにおいては、ほとんどの場合、相続関係を証明する書類が必ず必要になります。相続手続きは、専門的な知識が必要となる場合が多く、忙しい方にとっては煩雑な手続きと感じることがあるかもしれません。相続関係説明図の作成や、相続手続きに不安があるときは、司法書士や弁護士などの専門家に相談して不安を取り除いてください。

当事務所でも、相続に関する様々な相談に対応しております。初回は無料で相談をお受けしておりますので、お気軽にご連絡ください。