株主総会議事録の記載事項とは?作成時に確認したいポイントと備え置き義務を解説

株式会社が株主総会を開催した場合、株主総会議事録を作成する必要があります。
株主総会議事録には、単に「○○を決議した」と書けばよいわけではありません。

  • 何を記載すればよいのか
  • 議事録には誰の名前を書くのか
  • 押印は必要なのか
  • 議事録はどのくらい保管するのか
  • 役員変更などの登記に使う場合は何に注意すればよいのか

など、実際に作成するときには確認したいことがいくつかあります。

この記事では、株主総会議事録の基本的な記載事項から、押印、備え置き、登記との関係まで、会社が確認しておきたいポイントを整理します。

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株主総会議事録とは?

株主総会議事録とは、株主総会で行われた議事の内容や決議の結果などを記録したものです。
株式会社が株主総会を開催した場合、会社法の規定により議事録を作成する必要があります。

株主総会では、たとえば、

  • 取締役の選任・解任
  • 定款の変更
  • 役員報酬の決定
  • 剰余金の配当
  • その他、会社法や定款で定められた事項

などについて決議することがあります。

そのため、株主総会議事録は、会社として何を決めたのかを後から確認できる記録でもあります。
株主総会の決議をもとに役員変更などの登記を行う場合には、議事録を登記申請の添付書類として使用することがあります。

株主総会議事録には何を記載する?

株主総会議事録の記載事項は、会社法施行規則72条で定められています。

通常の株主総会では、主に次の事項を記載します。

  • 株主総会を開催した日時・場所
  • 株主総会の議事の経過の要領及びその結果
  • 株主総会に出席した取締役、監査役などの氏名・名称
  • 議長がいる場合は、議長の氏名
  • 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名
  • 法令で定められた事項について、株主総会で述べられた意見・発言がある場合は、その内容の概要

法令上の記載事項を押さえたうえで、実際にどの議案について、どのような決議がされたのかが分かるように記録することが重要です。

「決議したこと」だけを書けばいい?

株主総会議事録では、決議事項だけでなく、議事の経過の要領とその結果も記載することとされています。

たとえば、取締役を選任した場合、
「取締役Aを選任した」
と結果だけを記載するのではなく、議案についてどのような審議が行われ、どのような結果になったのかが分かるように記載します。

実際の記載方法は、会社の機関設計や議案の内容によっても変わります。

株主総会議事録を作るときに確認したいこと

議事録を作成するときは、単にテンプレートに必要事項を入力するだけではなく、まず株主総会そのものについて確認しておくことが大切です。

1.どの株主総会の議事録なのか

まず、

  • 定時株主総会なのか
  • 臨時株主総会なのか
  • 種類株主総会なのか

などを確認します。

定時株主総会であれば、事業年度や計算書類、役員の任期などとの関係も確認しておきましょう。

2.何を決議したのか

次に、株主総会で決議した事項を整理します。

たとえば、
「取締役を変更した」
という場合でも、

  • 任期満了による重任なのか
  • 新しい取締役を選任したのか
  • 取締役を解任したのか
  • 代表取締役も変更するのか

によって、その後の手続きが変わります。

議事録を作成するときには、決議した内容と、その後に必要となる手続きが一致しているかを確認することが重要です。

3.決議要件を満たしているか

株主総会の決議には、議案によって決議要件が定められています。

そのため、

  • 議決権を有する株主は誰か
  • 議決権数はいくつか
  • 株主総会に出席した株主の議決権数はいくつか
  • 必要な決議要件を満たしているか

などを確認します。

議事録には、会社の実務上、議決権数や出席状況などを記載して、決議が適切に成立したことが分かるようにすることがあります。

ただし、実際にどこまで記載するかは議案や会社の状況によって異なります。

4.出席者を確認する

株主総会議事録には、出席した取締役などの氏名・名称を記載します。当日の出席状況を確認しておきましょう。

特に、

  • 取締役
  • 監査役
  • 会計参与
  • 会計監査人

など、会社の機関設計によって確認すべき対象が変わります。

5.議長と議事録作成者を確認する

議長がいる場合には、その氏名を記載します。
また、議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名も記載します。

テンプレートを使う場合には、前年の議事録をそのまま使うのではなく、現在の役員構成や当日の状況と一致しているかを確認しましょう。

株主総会議事録への押印は必要?

株主総会議事録について、
「議長や取締役は必ず押印しなければならないの?」
と疑問に思う方もいるでしょう。

会社法・会社法施行規則上、通常の株主総会議事録について、議長や出席取締役の署名・記名押印が一律に義務付けられているわけではありません。

ただし、議事録を登記申請に使用する場合は別途確認が必要です。

たとえば、取締役会を設置していない会社が、株主総会の決議によって代表取締役を定め、その代表取締役の就任による変更登記を申請する場合には、一定の押印が必要となることがあります。

「株主総会議事録だから押印不要」と一律に判断するのではなく、
「この議事録を何に使うのか」まで確認することが大切です。

株主総会議事録を登記に使う場合の注意点

株主総会で役員変更などを決議した場合、その議事録を登記申請に使用することがあります。

たとえば、

  • 取締役を選任した
  • 取締役が任期満了で退任した
  • 代表取締役を変更した
  • その他、登記事項に変更が生じた

といった場合です。

この場合は、株主総会議事録だけを確認すればよいとは限りません。

株主総会の決議内容、現在の登記内容、定款、就任承諾書など、必要となる書類全体を確認する必要があります。
登記申請の内容によっては、株主総会議事録とは別に「株主リスト」などの添付が必要になる場合があります。

役員変更の登記を予定している場合は、議事録を作成する段階から、その後の登記まで見据えて準備しておくとスムーズです。

→「役員変更の登記方法と注意点(取締役と監査役の場合)」

→「役員変更の登記方法と注意点(代表取締役の場合)」

株主総会議事録は10年間、本店に備え置く

株主総会議事録は、作成して終わりではありません。
会社法では、株主総会議事録を株主総会の日から10年間、本店に備え置くことが定められています。
また、支店がある場合には、その議事録の写しを支店に5年間備え置く必要があります。

株主や債権者は、営業時間内に株主総会議事録の閲覧・謄写を請求することができます。

そのため、議事録は「登記が終わったから不要」というものではありません。
過去の株主総会で何が決議されたのかを確認する必要が生じることもあるため、会社の重要書類として適切に保管しておきましょう。

株主総会議事録を作成しなかったら?

株主総会議事録の作成や備え置きは、会社法上の義務です。
議事録に記載すべき事項を記載しなかった場合などについては、過料の規定もあります。

議事録について考えるときに大切なのは、罰則だけではありません。

議事録は、「会社がいつ、どのような事項について、どのような決定をしたのか」を後から確認するための記録です。
特に役員変更や定款変更など、会社の重要な事項を決めた場合には、その後の登記や社内手続きとの整合性も確認しておく必要があります。

株主総会を開催したら、議事録以外にも確認する

株主総会では、議事録を作成することだけが目的ではありません。

たとえば、役員を変更したのであれば、
株主総会で選任
↓
就任承諾
↓
必要な登記
↓
会社内部の書類や情報の変更
というように、その後にも手続きがあります。

そのため、株主総会を開催するときには、「議事録に何を書くか」だけでなく、「この決議の後に何をするのか」まで確認することが大切です。

株主総会全体の準備や開催までの流れについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

→「株主総会のスケジュール|開催前に確認したいことと準備の流れを解説」

また、株主が一堂に集まって株主総会を開催せず、一定の要件のもとで株主総会の決議があったものとみなす「決議の省略」を利用することもできます。その場合にも議事録の作成が必要です。

→「株主総会の書面決議ガイド」

株主総会議事録はテンプレートを使えばいい?

インターネット上には、株主総会議事録のテンプレートやひな形が多数あります。
テンプレートを利用すること自体は、議事録を作成するうえで便利な方法です。

ただし、テンプレートに会社の情報を入れるだけで完成するとは限りません。

会社によって、

  • 機関設計
  • 定款
  • 株主構成
  • 決議事項
  • 役員構成
  • 登記の必要性

などが異なるためです。

特に役員変更や定款変更などを行う場合には、議事録の内容だけでなく、株主総会の招集や決議そのものが適切に行われているかも確認する必要があります。

まとめ

株主総会議事録は、株主総会で会社が行った意思決定を記録する重要な書類です。

作成するときには、単にテンプレートに記入するのではなく、

  • 株主総会の日時・場所
  • 議事の経過と結果
  • 出席した役員
  • 議長
  • 議事録作成者
  • 必要な意見・発言の概要
  • 決議要件を満たしているか
  • 登記に使用する場合の必要書類や押印
  • 作成後の備え置き

などを確認しましょう。

特に、役員変更や定款変更などを行う場合は、
「株主総会で何を決めたか」
「その決議を受けて何をするのか」
まで整理しておくことが大切です。

株主総会議事録は、株主総会の一場面だけを記録する書類ではありません。
会社の意思決定と、その後の手続きをつなぐ書類として考えると、何を確認すべきかが分かりやすくなります。

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